ゲーム依存症とは、WHOが2018年に国際疾病分類ICD-11で「ゲーム障害(Gaming Disorder)」として正式に認定した疾病であり、ゲームのコントロールができない、生活においてゲームの優先度が極めて高い、問題が生じてもゲームを続けるといった症状が12か月以上継続する場合に診断されます。治療においては認知行動療法が最も有効性のあるアプローチとされており、完全にゲームをやめるのではなく適切に使用できるようになることを目標とする「節ネット」の考え方が主流となっています。日本では中高生の約93万人がネット依存の疑いがあると推計されており、専門医療機関での治療体制の整備が進められています。この記事では、WHOによるゲーム障害の疾病分類の詳細から診断基準、具体的な治療方法、家族の対応、世界各国の対策まで、ゲーム依存症について知っておくべき情報を網羅的に解説します。

WHOによるゲーム障害の疾病認定とICD-11への収載
ゲーム障害は、2018年6月18日にWHO(世界保健機関)が公表した国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)において、依存症分野に新たに追加された疾病です。この改訂は現行のICD-10(1990年版)以来、約30年ぶりとなる大幅な見直しであり、ゲームへの過度な没頭が医学的に治療を要する状態として国際的に認められた歴史的な出来事となりました。ICD-11は2022年1月1日に正式に発効し、各国で順次適用が進められています。
WHOがゲーム障害を疾病として認定した背景には、世界各国でゲームへの過度な没頭により学業や仕事、家庭生活に深刻な支障をきたす事例が増加していることがあります。スマートフォンやパソコン、ゲーム機の普及によりオンラインゲームを楽しむ人が世界中で増加する一方で、ゲームに過度にのめり込み日常生活に支障をきたすケースが社会問題として注目されるようになりました。
ICD-11におけるゲーム障害の位置づけについて説明します。ゲーム障害は「物質使用症群または嗜癖行動症群」の「嗜癖行動症群」に分類されています。これはアルコール依存症や薬物依存症などの物質依存と同様に、行動に対する依存として医学的に認められたことを意味します。ギャンブル障害と同じカテゴリーに位置づけられており、行動嗜癖(行動への依存)の一つとして扱われています。
用語については、WHOによる分類ICD-11の訳語に関して2018年の日本精神神経学会による草案では「Gaming disorder」に対応する用語を「ゲーム症<障害>」としています。また「ゲーム行動症」という訳語も使用されています。ICD-11で使われている用語の和訳については現在も検討中であり、今後変更になる可能性があります。日本での適用時期については厚生労働省を中心に準備が進められています。
ゲーム障害の診断基準と症状の特徴
WHOによるICD-11では、ゲーム障害は持続的または反復的なゲーム行動(オンラインまたはオフライン)のパターンであり、4つの特徴を示すものと定義されています。
第一の特徴は、ゲームのコントロールができないことです。開始、頻度、強度、持続時間、終了、状況などにおいてゲームをコントロールすることができない状態を指します。ゲームを始めると止められない、予定していた時間を大幅に超えてプレイしてしまうといった症状がこれに該当します。
第二の特徴は、生活の中でゲームの優先度が非常に高くなっていることです。他の生活上の関心事や日常の活動よりもゲームを選ぶほど、ゲームを優先するようになります。食事や睡眠、学業、仕事よりもゲームを優先する状態が継続的に見られます。
第三の特徴は、問題が起きているにもかかわらずゲームを続ける、またはエスカレートさせていることです。個人、家族、社会、教育、職業などの重要な機能分野において著しい障害を引き起こしているにもかかわらず、ゲームを続けてしまいます。学校に行けなくなった、仕事に支障が出ている、家族との関係が悪化しているといった問題があってもゲームをやめられない状態です。
第四の特徴は、重症度に関するものです。ゲーム行動パターンは重症で、個人、家族、社会、教育、職業やほかの重要な機能分野において著しい障害を引き起こしている必要があります。
診断に必要な期間については、上記の症状が12か月以上継続している場合に診断されます。ただし、4つの症状がすべて存在し、しかも重症である場合にはそれより短い期間であっても診断が可能とされています。
ICD-11にはゲーム障害の下位分類として3つのカテゴリーが記載されています。「ゲーム症(障害)、主にオンライン」はインターネットを介したオンラインゲームへの依存が主な形態です。「ゲーム症(障害)、主にオフライン」はインターネットを使用しないゲーム機やパソコンでのゲームへの依存が主な形態です。「ゲーム症(障害)、特定不能」はオンラインとオフラインの区別が明確でない場合や両方に該当する場合です。
アメリカ精神医学会が発行する精神疾患の診断・統計マニュアル(DSM-5)との関係についても触れておきます。DSM-5では「インターネットゲーム障害」が「今後の研究のための病態」として記載されています。正式な診断基準としては採用されていませんが、研究や臨床において参考にされています。
ゲーム障害が引き起こす身体的・精神的症状
ゲーム障害は身体面と精神面の両方に深刻な影響を及ぼします。身体的症状としては、長時間のゲームプレイにより睡眠時間が削られ生活リズムが乱れる睡眠不足や昼夜逆転が起こります。画面を長時間見続けることで眼精疲労やドライアイ、視力の低下が生じます。同じ姿勢で長時間過ごすことで筋肉や関節に負担がかかり腰痛や肩こりが発生します。ゲームコントローラーやマウス、キーボードの操作による反復動作で手首に炎症が起こる腱鞘炎も見られます。さらにゲームに没頭することで運動量が減少し体重増加につながる運動不足による肥満も問題となっています。
精神的・社会的影響も深刻です。ゲームを優先するあまり学校に行けなくなったり勉強時間が確保できなくなる不登校や学業成績の低下が起こります。ゲームの世界に没頭し現実社会との接点が減少する引きこもり状態になることもあります。家族との衝突やゲームを制限しようとする家族への暴力など家庭内の問題が生じることもあります。ゲーム障害は他の精神疾患を併発しやすく、うつ病や不安障害のリスクが高まるとされています。ゲーム内での課金が止められず経済的な問題を引き起こす課金問題も深刻な影響の一つです。
ゲーム依存症の原因と脳のメカニズム
ゲーム依存症のメカニズムを理解するうえで、脳の報酬系とドーパミンの働きが重要です。ドーパミンは神経伝達物質の一種で、快楽や喜びを感じるときに分泌されます。ゲームをプレイすると達成感や興奮により脳内でドーパミンが大量に分泌され、このドーパミンが脳の報酬系を活性化させて幸せな気分を感じさせます。
しかしゲームを長時間続けてドーパミンが大量にある状態が続くと、ドーパミン受容体の数が減少したり感受性が低下したりします。その結果、同じ満足感を得るためにより長時間のゲームが必要になり依存が深まっていきます。最終的にはドーパミンを分泌する能力も受け取る能力も低下し、やる気や幸福感を感じられない状態になります。このメカニズムは覚醒剤などの薬物依存症と類似しています。
前頭前野への影響も重要な要因です。ゲームを長時間行うと、衝動や欲望をコントロールする役割を持つ前頭前野の機能が低下することが研究で示されています。前頭前野は自己制御や判断力、計画性などを司る脳の部位です。ゲーム依存の状態では感情のコントロールを行う背外側前頭前野と線条体の機能的結合が減弱していることが知られており、これによりゲームをやめたいと思っても衝動を抑えられなくなります。
発達障害との関連についても多くの研究で示されています。注意欠如多動症(ADHD)との関連は特に強いとされています。ADHDの方は脳の報酬系のはたらきが弱いとされており、ゲームなどによる即時的な報酬を求めやすい傾向があります。また衝動性のコントロールが難しいためゲームに夢中になると途中でやめることが困難になります。ドーパミンの分泌量をもともと調整しづらいADHDのある方は依存症になりやすい傾向があるとされています。
自閉スペクトラム症(ASD)との関連も指摘されています。ASDの方は強いこだわりを持っていたり常同的・反復的な行動を好む性質がありゲームにのめり込みやすいとされています。また対人コミュニケーションに困難を抱えるため現実の人間関係よりもオンラインゲームでの交流に居場所を求めることがあります。
環境的要因も発症に関係しています。家庭内の問題や親子関係の不和、孤独感などがゲームへの逃避につながることがあります。いじめや学業のプレッシャー、人間関係の困難さなど学校でのストレスから逃れるためにゲームに没頭することもあります。現実生活で自己肯定感を得られない人がゲーム内での達成や評価を求める自己肯定感の低さも関係しています。
統計的に見るとゲーム依存症の約90パーセントが男性であり約70パーセントが未成年であるとされています。また90パーセント以上がオンラインゲームへの依存であることが報告されています。対人コミュニケーションに苦手意識がある人、ストレスを抱えやすい人、自己コントロールが苦手な人がゲーム依存になりやすい傾向があります。
日本におけるゲーム依存症の現状と調査データ
厚生労働省の調査によると、日本ではオンラインゲームを含めた病的なネット依存が疑われる中高生が推計93万人に上ります。これは2012年の52万人から2017年の93万人へと過去5年間で倍増した数字です。
長崎大学の研究チームが実施した大規模疫学調査では、調査に参加した小中高校生のうち7パーセントにゲーム依存症の可能性があることが明らかになりました。ゲーム依存症の傾向がある子どもはゲームに費やす時間と金額が多いだけでなく、不登校や情緒・行動の問題、インターネット依存などさまざまな問題を抱えていることがわかっています。
2019年に厚生労働省が発表した初の実態調査では、10代から20代のゲーム利用者のうち7パーセントが授業中や仕事中にもゲームを続けているなど依存症状が見られました。休日には12パーセントがゲームを6時間以上プレイしていることも明らかになりました。
新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛や休校措置により、子どものゲームプレイ時間や課金額が増加したことが報告されています。自宅で過ごす時間が増えたことでゲームに費やす時間も増加し、依存のリスクが高まったと考えられています。
最新の調査動向として、厚生労働省は独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターに委託し「令和6年度ゲーム依存(ゲーム行動症)・ネット依存の全国調査」として「ネット・ゲーム使用と生活習慣に関する実態調査」を実施しています。この調査により国民生活における問題の実態把握と今後の施策検討のための基礎資料が作成されています。
ゲーム障害の治療方法と回復へのアプローチ
ゲーム障害の治療では、完全にゲームをやめさせる「断ネット」ではなく、ゲームを適切に使用できるようになること(「節ネット」)を目標とすることが多くの専門機関で採用されています。これは現代社会においてインターネットやデジタル機器を完全に避けることが現実的ではないためです。
認知行動療法(CBT) は、世界的に見てゲーム行動症の治療において最もエビデンスがあるとされる治療法です。2010年以後に出版された治療に関する論文の系統的レビューによると、認知行動療法またはCBTをベースにした治療が最も多く行われておりその有効性が示されています。
認知行動療法ではゲームに関する非適応的な「認知」(考え方や信念)や「行動」に焦点を当てます。たとえば「ゲームをすれば嫌なことを忘れられる」「ゲームでしか自分は認められない」といった考え方を特定し、それらを健康的で現実的なものに変えていくことを目指します。具体的にはゲームへの衝動にどう対処するか、ゲーム以外の活動でどうやって楽しみを見つけるかなどを学びます。久里浜医療センターでは独自の認知行動療法テキストを作成しグループでの認知行動療法を実施しています。
家族療法 や本人の認知行動療法と家族療法の併用も有効性が示唆されています。ゲーム依存症は本人だけの問題ではなく家族全体の関係性や家庭環境が影響していることが多いため、家族を含めた治療が重要です。
薬物療法についてはゲーム行動症の適応が認可された治療薬は世界的に存在しません。研究レベルでは一部の抗うつ薬の有効性が示唆されています。ゲーム行動症にはADHDが比較的高率に合併しますが、このADHDの治療薬がゲーム行動症にも有効という報告もあります。うつ病や不安障害などの併存疾患がある場合はそれらに対する薬物療法が行われることがあります。
その他の治療アプローチとして、対人関係やコミュニケーションのスキルを向上させる訓練を行う社会生活技能訓練(SST)があります。デイケアプログラムでは日中を医療機関で過ごしながら生活リズムの改善や社会復帰に向けた支援を受けます。重症の場合は生活リズムを整えるための入院治療が行われることがあり、東京都立松沢病院では1か月程度の入院治療が可能です。キャンプやアウトドア活動も治療に取り入れられており、久里浜医療センターではデジタル機器から離れた環境で自然体験活動を行う治療キャンプを実施しています。
予防プログラムとして「PROTECT」というプログラムがあります。これは認知行動療法に基づく予防的グループ介入で、訓練を受けた心理士により通常の学校時間内に実施されます。1回90分のセッションを4回実施し、リスクのある生徒のゲーム障害症状の重症度を有意に低下させる効果が確認されています。
日本の専門医療機関とゲーム依存症外来
久里浜医療センター(神奈川県) は2011年7月に日本初のネット依存治療研究部門を立ち上げ、ゲーム障害を含むネット依存の専門診療を行っています。治療内容は精神療法、個人カウンセリング、個人や集団を対象とした認知行動療法、社会生活技能訓練(SST)、デイケアを組み合わせて実施しています。2011年12月からはネット依存家族会を開催しており毎月第2木曜日に家族支援を行っています。全国のゲーム障害・ネット依存・スマホ依存の治療施設リストを公開しており、2025年11月に改定されました。
神奈川県立精神医療センター は思春期ゲーム行動症(依存症)外来を設置しています。ゲームがコントロールできずに困っている12歳から18歳(中学生から高校生の年齢)の方を対象とした専門外来であり、背景にある発達特性や生活環境を評価しながら家族とともに回復を目指します。
東京都立松沢病院 はスマートフォン依存・インターネット依存・ゲーム依存の治療を行っています。生活リズムを整えたい場合やスマートフォンの使い方を見直したい場合は1か月程度の入院治療が可能です。2025年には高校生を対象にスマートフォン利用の実態を調査し、ゲーム・動画・SNSそれぞれの依存傾向と心理的特徴の違いを明らかにした研究成果を発表しました。
大石クリニック(横浜市) は依存症治療の専門医療機関としてネット依存(ゲーム障害)の外来治療を行っています。集団精神療法を中心に精神状態によっては薬物療法も実施します。重症の場合はクリニック近くの附属グループホーム(回復施設)からの通院も可能です。まず家族が対応を相談するために受診することを推奨しています。
その他の専門機関として、群馬県立精神医療センターでは毎週木曜日にゲーム・インターネット依存症専門外来を実施しています。榎本クリニックではインターネット依存(ゲーム障害)デイナイトケアを提供しており週1回から利用可能で、治療の最終目標は「節ネット」としています。小泉病院(広島県)ではインターネット・ゲーム依存に特化した集団治療プログラムを実施しており、適切にインターネットやゲームを使用できることを目標にサポートを行っています。
家族がゲーム依存症の子どもに取るべき対応
ゲーム依存症の子どもを持つ家族が避けるべき対応があります。本人に無断でスマホやゲーム機を取り上げたりWi-Fiを切ったりすることは避けましょう。本人にとってはゲームやネットが唯一の居場所であることもあり、その居場所を無理やり奪うことは親子関係の悪化やゲームへの執着をさらに強めることにつながります。
無理やり病院に連れていくことも避けましょう。特に保護者の下にいる年齢の子どもは自分のネットやゲームの使い方に問題を感じる機会があまりなく、無理やり病院に連れていくことはかえって親子の信頼関係に悪影響を及ぼします。ゲームの時間をご褒美にすることは避けましょう。何かをしたご褒美にゲーム時間を与えてしまうとご褒美を得ることが目的となり、ルールを守るという本来の目的を見失います。
推奨される対応としては、まず家族の接し方を変えることが重要です。ネットやゲームをやめさせるのではなく家族の対応を変えることが今すぐにできることの一つです。会話できる環境を維持することが大切で、注意を繰り返すと本人はストレスを抱えてさらに依存を深めてしまいます。話をよく聞き心配していることを伝えることを根気よく続けましょう。
現実生活での充足感を得られる環境を整えることも重要です。ネットやゲームに依存している人は現実的な生活で充足感を得られずストレスを抱えています。家事を担当してもらったり家庭外での活動をサポートしたりすることで充足感を得られる機会を増やします。ネット・ゲーム機器を介さない遊び、部活動、習い事、アルバイト、旅行などの機会を設けることで興味の幅を広げることができます。保護者自身もゲームやネット機器の使用についてルールを守る姿勢を見せることが重要です。
背景にある問題への理解も大切です。「自己治療仮説」という考え方があり、子どもがゲームに没頭する背景には子どもが何らかの生きづらさを抱えておりゲームをすることで苦痛をやわらげている可能性があります。ゲーム障害の背景にADHDやASDのような発達特性、うつや不安などの精神症状がありその辛さをやわらげるためにゲームに没頭していることもあります。ゲーム障害では「原因がゲームそのものではない場合も少なくない」という視点を持つことが大切です。
久里浜医療センターではネット依存家族会を毎月開催しており、同じ悩みを持つ家族同士が情報交換や支え合いを行う場となっています。大石クリニックなど多くの専門機関ではまず家族が相談に来ることを推奨しています。家族が適切な対応を身につけることで本人との信頼関係を築きなおし治療につなげる機会を得ることができます。
世界各国のゲーム依存症対策と規制
韓国 はネット先進国であると同時にゲーム障害の先進国でもあり、早くから対策を講じてきました。2011年11月20日から「シャットダウン制度」が施行されました。これは16歳未満の青少年に対し午前0時から午前6時までの6時間オンラインゲームの利用を禁止するもので、ゲーム会社はその時間内は青少年からのアクセスを強制的に排除する措置を取らなければなりません。2014年には規制が緩和され保護者の同意のもとであれば時間制限を解除できるようになりました。2024年3月に施行された法律によりゲーム内のガチャ(ランダム型アイテム提供方式)の排出率公開が義務化されました。また海外企業に対する規制強化も進んでおり、海外企業に対し韓国国内の代理人指定を義務づける方針が打ち出されています。
中国 はゲーム市場規模が世界一であり、それに伴いゲーム障害も大きな社会問題となっています。2018年には中国の未成年の30パーセント以上がゲーム依存症に苦しんでいるとされ、近視の増加も懸念されていました。2021年8月30日には規制がさらに厳格化され、未成年は祝日、金曜日、土曜日、日曜日の午後8時から午後9時までしかオンラインゲームをプレイできなくなりました。週末と祝日に1時間だけという非常に厳しい制限です。課金についても制限があり、8歳以上16歳未満は1回50人民元(約780円)、月額200人民元(約3,120円)まで、16歳以上18歳未満は1回100人民元(約1,560円)、月額400人民元(約6,240円)に制限されています。中国では長時間オンラインを使用しゲーム依存障害となった若者に対する治療と軍事訓練を組み合わせたクリニックも存在しています。
日本 では法的な規制は比較的緩やかです。レーティング制度(CERO)によりゲームの内容はある程度規制されていますが、プレイ時間や課金に関する法的な強制力はありません。2020年4月には香川県が「ネット・ゲーム依存症対策条例」を施行しました。これは18歳未満の子どものゲーム利用時間を1日60分(休日は90分)以内とする目安を設けたもので、法的拘束力はありませんが全国で初めてゲーム依存に特化した条例として注目されました。
その他の国として、ドイツではゲームのレイティング(年齢制限認証)が法令により義務付けられています。欧州では「汎欧州ゲーム情報」(PEGI)が30か国以上で年齢別レイティングを行っており、ゲームの内容に応じた年齢制限を設けています。
ゲーム依存症の予防と早期発見のポイント
家庭でできる予防として、ゲームを始める前にルールを決めておくことが重要です。プレイ時間、課金の上限、ゲームをしてよい場所などについて子どもと話し合って決めましょう。リビングなど家族の目が届く場所でゲームをする習慣をつけることも効果的で、自室に閉じこもってゲームをするとプレイ時間が長くなりがちです。
ゲーム以外の楽しみを見つける機会を提供することも大切です。スポーツ、音楽、読書、アウトドア活動などさまざまな体験をさせることで興味の幅を広げることができます。保護者自身がゲームやスマートフォンの使い方の手本を示すことも予防に効果的です。
学校での予防教育として、情報モラル教育の一環としてゲームやインターネットの適切な使い方について学ぶ機会を設けることが重要です。PROTECTのような認知行動療法に基づく予防プログラムを学校で実施することも効果的です。
早期発見・早期介入も重要です。ゲーム依存症の傾向がある場合は早めに専門機関に相談することが重要です。発達障害のある方は依存になりやすい性質を持っているため特に注意が必要です。成績の低下、睡眠リズムの乱れ、食事の乱れ、家族との会話の減少などの兆候が見られたら早めに対応を検討しましょう。
ゲーム依存症対策の今後と社会全体での取り組み
ゲーム依存症(ゲーム障害)は2018年にWHOがICD-11において正式に疾病として認定した現代社会における重要な健康問題です。日本では中高生の約93万人がネット依存の疑いがあると推計されており、その対策は急務となっています。
診断基準としてはゲームのコントロールができないこと、生活におけるゲームの優先度が極めて高いこと、問題が生じてもゲームを続けることなどが挙げられ、これらの症状が12か月以上継続する場合に診断されます。治療としては認知行動療法が最も有効性が示されており、家族療法や社会生活技能訓練なども併用されます。完全にゲームをやめるのではなく適切に使用できるようになることを目標とするアプローチが主流です。
家族の対応としては強制的にゲームを取り上げるのではなく、会話できる関係を維持しながら現実生活での充足感を得られる環境を整えることが重要です。またゲーム依存の背景には発達障害やうつ病などの問題が隠れていることもあるため、専門機関への相談が推奨されます。
世界各国では韓国のシャットダウン制度や中国の厳格なプレイ時間制限などさまざまな対策が講じられています。日本でも専門医療機関の整備や調査研究が進められており、今後さらなる対策の充実が期待されます。
ゲームは適切に楽しめば人生を豊かにする娯楽ですが、依存状態に陥ると深刻な健康被害や社会的問題を引き起こします。本人、家族、学校、医療機関、社会全体が協力してゲーム依存症の予防と治療に取り組むことが重要です。

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