子供のコミュニケーション障害とは?症状・チェックポイント・何歳からわかるかを解説

心の病

子供のコミュニケーション障害とは、言語や対人スキルに問題があり、適切なコミュニケーションが難しい状態を指します。子供のコミュニケーション障害の症状は、言葉の遅れや会話のキャッチボールが苦手といった特徴として現れ、チェックポイントとしては1歳半で意味のある言葉が話せない、3歳で2語文が出ないなどが目安となります。何歳からわかるかについては、発達障害の特性は2歳から3歳ごろから目立ち始めることが多く、1歳半健診や3歳児健診で気づかれるケースが一般的です。

「うちの子は言葉が遅いのではないか」「他の子と比べてコミュニケーションがうまく取れていないように感じる」といった不安を抱える保護者の方は少なくありません。小児の10%以上にコミュニケーション障害がみられるとされており、決して珍しい状態ではないのです。コミュニケーション障害は学業成績や社会的関係に影響を及ぼす可能性があるため、早期の発見と適切な支援が重要となります。この記事では、子供のコミュニケーション障害について、その定義や種類、症状の特徴、年齢別のチェックポイント、何歳頃から発見できるのか、そして治療・支援の方法まで詳しく解説していきます。

  1. コミュニケーション障害とは何か
  2. コミュニケーション障害の種類と特徴
    1. 言語障害(言語症)の特徴
    2. 語音障害(語音症)の特徴
    3. 小児期発症流暢症(吃音)の特徴
    4. 社会的(語用論的)コミュニケーション障害の特徴
  3. 子供のコミュニケーション障害の症状
    1. 言葉によるコミュニケーションにみられる症状
    2. 言葉以外のコミュニケーションにみられる症状
    3. 言語発達の遅れとしてあらわれる症状
  4. 年齢別にみるコミュニケーション発達の目安とチェックポイント
    1. 0歳から1歳の言語発達
    2. 1歳から1歳半の言語発達
    3. 1歳半から2歳の言語発達
    4. 3歳以降の言語発達
    5. 言葉の遅れが疑われるチェックポイント
  5. コミュニケーション障害は何歳からわかるのか
    1. 発達障害全般の発見時期
    2. 乳幼児健診での発見
    3. 障害の種類別の発見時期
    4. 早期受診の目安
  6. コミュニケーション障害の原因
    1. 一般的にみられる原因
    2. 吃音の原因
    3. 発達性言語障害の原因とレイトトーカー
  7. コミュニケーション障害の治療と支援方法
    1. 言語療法による支援
    2. SST(ソーシャルスキルトレーニング)
    3. 行動療法
    4. 吃音への対応方法
    5. 早期支援の重要性
    6. 相談先について
  8. 家庭でのコミュニケーションの接し方
    1. 基本的な接し方のポイント
    2. 効果的なコミュニケーションの工夫
    3. 話しかけるタイミングの重要性
    4. 発達障害の種類別の対応方法
    5. 褒め方のコツ
    6. 家族自身のケアも重要
    7. ペアレント・トレーニングの活用
  9. 発達性言語障害への具体的な支援方法
    1. 表出性言語障害への支援
    2. 受容性言語障害への支援
    3. 家庭でできる言葉の発達を促す関わり
  10. 社会的コミュニケーション症の診断基準
  11. 自閉スペクトラム症(ASD)との関係
    1. ASDのチェックポイント
    2. CCC-2(子どものコミュニケーション・チェックリスト)
  12. まとめ

コミュニケーション障害とは何か

コミュニケーション障害とは、言葉を扱って他者とコミュニケーションをとることに困難が生じる疾患群のことです。発音が不明瞭であったり、話し言葉のリズムがスムーズでなかったりするため、話し言葉によるコミュニケーションが円滑に進まない状況を含みます。

医学的な観点では、コミュニケーション障害は過去に使われていた診断名であり、2022年に発表されたアメリカ精神医学会による最新の診断基準「DSM-5-TR」にて、診断名が「社会的コミュニケーション症」に改められました。DSM-5では、コミュニケーション障害は自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如・多動性障害(ADHD)と同じ「神経発達症群」の中に位置づけられています。小児の10%以上にコミュニケーション障害がみられるとされており、全てのコミュニケーション障害によって学業成績と社会的関係に支障が生じることがあります。

コミュニケーション障害の種類と特徴

言語障害(言語症)の特徴

言語障害とは、語彙の獲得、文法規則の理解、情報の伝達などが困難な状態を指します。言葉の理解や言語概念の形成につまずきがある場合も含まれます。言語障害には大きく分けて2つのタイプがあります。

表出性言語障害は、言葉自体は理解しているが言葉の表出が遅れるタイプです。言語理解は良好なのに発語が遅れる特徴があり、就学前には約90%が正常範囲に追いつくと言われています。

受容性言語障害は、言葉自体を理解していないことにより言葉の表出も遅れているタイプです。言語理解と発語ともに遅れる特徴があり、約60%に就学時にも遅れが認められることが多いため、早期からの支援が特に重要となります。

語音障害(語音症)の特徴

語音障害とは、言葉を発声・発音することが困難な状態を指します。話す速度やリズムに問題がある場合も含まれます。解剖学的な異常や神経・筋肉などの異常がないにもかかわらず発音に誤りがあるときに「機能性構音障害」と呼びます。発音に関わる運動機能の未熟性と正しい構音と誤った構音の弁別能力の遅れ、言語環境の問題が原因とされています。4歳までにほとんどの場合は改善されますが、4歳を超える場合には言語訓練が必要となります。

小児期発症流暢症(吃音)の特徴

小児期発症流暢症とは、話し始めの言葉に詰まったり、単語を伸ばしたり、言葉がすらすら出てこないなどの症状がある状態です。吃音に特徴的な中核症状には3つのパターンがあります。

連発は音の繰り返しで、「か、か、からす」のように同じ音を繰り返す症状です。伸発は引き伸ばしで、「かーーらす」のように音を長く伸ばす症状です。難発(ブロック)はことばを出せずに間があいてしまう症状で、「・・・・からす」のように最初の音がなかなか出てこない状態を指します。

吃音は2歳から4歳をピークとしてほとんどが幼児期に発症します。近年の幼児期における調査から、吃音の発症率は約8%から11%程度であることが報告されています。6割から8割が発症して3年程で自然に治ると言われていますが、周囲から指摘されたりからかわれることで悪化してしまうことも少なくありません。

社会的(語用論的)コミュニケーション障害の特徴

社会的コミュニケーション障害とは、言語を扱う基礎的能力は十分にあるにもかかわらず、社会的状況に応じたコミュニケーションに困難さが生じる状態です。従来は「広汎性発達障害」と分類されていましたが、2013年に発行された「DSM-5」で「社会的(語用論的)コミュニケーション症」という新しい分類名になりました。

自閉スペクトラム症にも似た症状が現れますが、自閉スペクトラム症は特定の物事に対する興味の偏りや反復的行動を伴う点で異なります。社会的コミュニケーション障害では、状況や聞き手の要求に合わせてコミュニケーションを変えることや、会話や話術のルールに従うこと、字義どおりでない言葉を理解することに困難さがみられます。

子供のコミュニケーション障害の症状

言葉によるコミュニケーションにみられる症状

発達障害の子どもは会話のキャッチボールが苦手なことが多く、いくつかの特徴的な症状がみられます。相手の言った言葉をそのまま繰り返してしまう「オウム返し」や、会話が一方的になりがちな傾向、会話の内容がかみ合わないといった症状が代表的です。

また、比喩や冗談、皮肉などの抽象的な表現が苦手であったり、字義どおりでない言葉(慣用句、ユーモア、隠喩など)を理解することが困難であったりします。状況や聞き手の要求に合わせてコミュニケーションを変えることが難しいという特徴もあり、遊び場と教室で喋り方を変えたり、相手が大人か子どもかで話し方を変えたりすることが困難な場合があります。さらに、会話や話術のルールに従うことが難しく、相づちを打つことや誤解されたときに言い換えることが苦手な場合もあります。

言葉以外のコミュニケーションにみられる症状

言葉以外の面でも特徴的な症状がみられることがあります。視線を合わせられない、自分から触るのは平気だが他人に触られるのを嫌がる、身体的なコミュニケーションが苦手な傾向などが挙げられます。乳幼児期には保護者の手を使ってものを取ったり指差したりする「クレーン動作」が見られる場合もあります。

言語発達の遅れとしてあらわれる症状

言葉の遅れについては、1歳半までに意味のある単語を話さない、3歳までに2語文(「ママ いく」「ボール ちょうだい」など)を話さない、1歳半までに2から3のありふれた言語の理解ができない、2歳までに簡単な言語指示に従えないなどの症状が挙げられます。

年齢別にみるコミュニケーション発達の目安とチェックポイント

0歳から1歳の言語発達

子どもの言語発達には段階があります。生後2ヶ月頃から赤ちゃんは音を発するようになり、最初は「アー」や「ウー」といった単純な音から始まります。6ヶ月頃になると喃語(発音がまだ意味を持たない言葉のような音)が増えてきます。1歳を迎える頃、子どもは「ママ」や「パパ」といった単語を話し始めることが多いでしょう。

1歳から1歳半の言語発達

1歳から1歳半にかけて、子どもは「一語文」を話し始めます。一語文とは「わんわん」や「まんま」のように意味のある単語を単独で使う言葉のことです。この時期は言葉と身振りを組み合わせて自分の意思を表現しようとする姿が見られるようになります。

1歳半から2歳の言語発達

1歳半から2歳の時期、子どもは「二語文」を使い始めます。二語文とは2つの単語を組み合わせた簡単な文章を指し、「ママ いく」や「ボール ちょうだい」のような表現です。2歳の頃の言葉の発達は「語彙爆発」と言われるように、語彙が爆発的に増えていきます。

3歳以降の言語発達

3歳になると2語文・3語文を使うようになります。4歳から5歳では代名詞を使えるようになり、同じ年代の子どもたちとコミュニケーションを取る機会が増えて会話を楽しむ姿が見られるようになります。さらに「かっこいいから、これがいい」といったように、自分の意見の根拠を示して伝える能力も発達します。5歳から6歳になると、子どもは自分の体験を自分の言葉で伝えられるようになり、簡単なスピーチも可能になります。5歳の子どもが持つ語彙数は約2,000語から2,500語といわれています。

言葉の遅れが疑われるチェックポイント

言葉の遅れが疑われる目安として、1歳半で意味のある言葉が2つ以下しか話せない場合、3歳になっても「ジュースのむ」などの2語文が出ない場合、1歳の誕生日までに2語以上話せない場合が挙げられます。ただし、3歳くらいまでの間は言葉の発達に遅れを感じたとしても個性の範疇であることも多いです。子どもが呼びかけに応答したり、大人が話すことを理解している様子が見られれば問題はありません。小さい頃ほど個人差は大きく、他の子どもと同じように話せないからといってすぐに言語発達遅滞と診断されるわけではありません。

コミュニケーション障害は何歳からわかるのか

発達障害全般の発見時期

発達障害の特性は2歳から3歳ごろから目立ち始めることが多くあります。ただし、2歳より前でも日々の生活の中で子どもから発達障害のサインが出ている場合もあります。発達障害は通常、3歳児検診で初めて兆候が見られることが多く、この時期に言語発達や運動能力の遅れが確認されることがあります。

乳幼児健診での発見

1歳半健診では、言語能力やコミュニケーション能力から知的障害や自閉症について診断します。ただ、1歳半ではまだ幼く、子供の様子だけから判断することは難しいため、保護者への問診も参考にされます。

3歳児健診では、コミュニケーション能力について会話が成立するかということが重要となります。話すことはできるが尋ねたことに答えられないという場合には、自閉症が疑われることがあります。

障害の種類別の発見時期

自閉スペクトラム症(ASD)の診断は2歳以降になってからがほとんどです。多くの場合3歳頃までに症状が現れはじめますが、知的の遅れや発語に遅れなどが見られにくい場合は、就学後などに診断を受ける場合もあります。

社会的(語用論的)コミュニケーション症は症状の始まりは発達期早期(幼少期)だといわれていますが、能力の限界を超えた社会的なコミュニケーションが要求される年齢になるまで気づかれない場合もあります。言語や会話がある程度発達する4歳になるまではあまり診断されず、言語や社会的交流が複雑になる青年期早期まで明らかにならない人もいます。

小児期発症流暢症(吃音)を抱えている子どもの約90%が6歳までに発症していると言われています。発達性吃音は典型的には2歳から5歳で始まり、男児でより頻度が高いです。

注意欠如・多動性障害(ADHD)は幼児期に発見するのは大変難しいと言われています。注意欠如・多動性障害の診断を受ける最も多い年齢は8歳時だと言われています。

限局性学習障害(LD)は幼児期に発見されることがほとんどなく、多くは小学校低学年以上で診断されます。発語やコミュニケーション能力・社会性などにはほとんど問題がないことが多く、就学に際して困難が現れはじめます。

障害の種類発見されやすい時期
自閉スペクトラム症(ASD)2歳以降、多くは3歳頃まで
社会的コミュニケーション症4歳以降、青年期まで気づかれないことも
小児期発症流暢症(吃音)2歳から5歳、約90%が6歳までに発症
注意欠如・多動性障害(ADHD)8歳時が最も多い
限局性学習障害(LD)小学校低学年以上

早期受診の目安

小児にコミュニケーション障害がある場合(例:1歳の誕生日までに2語以上話せない)、親には医療機関へ受診するよう助言されています。評価には神経学的および耳鼻咽喉科学的診察、聴覚および言語の評価が含まれます。一般的には、子どもの発達が目安よりも遅れていると感じたり、日常生活に大きな支障が出ている場合、早めに専門家に相談することが推奨されています。

コミュニケーション障害の原因

一般的にみられる原因

コミュニケーション障害の原因は多岐にわたります。遺伝的要因や発達過程での問題、脳の損傷、聴覚障害、知的障害、肢体不自由(特に脳性まひ)、発語器官のまひや変形、てんかんその他の小児神経学的問題、自閉症・情緒障害、環境的な問題などが挙げられます。

吃音の原因

吃音のほとんどは「発達性吃音」で、発達障害者支援法に定義される「発達障害」の一つです。主要な原因は遺伝子変異であり、双子研究では一卵性双生児に有意に吃音が多いことがわかっています。特にGNPTAB、NAGPAなどのリソソーム蛋白に関わる酵素をコードする遺伝子や、ドパミン生合成に関連する遺伝子異常が報告されています。

社会には偏見や無理解があり、「親の育て方が悪いから吃音になる」という間違った考えを今でも信じている人が多いですが、育て方が原因ではありません。育て方の問題ではないということを理解することが重要です。

発達性言語障害の原因とレイトトーカー

発達性言語障害は原因が特定されていない「単に言葉が遅いだけ」という状態で、3歳前後から追いつくこともあります。また、テレビ・ビデオ・スマホの見過ぎや不適切な療育環境で言葉がけが極端に少ない場合など、養育環境が影響することもあります。

ことばの出始めが遅く、2歳から3歳過ぎになってやっと単語を話し始め、4、5歳くらいまでカタコトしか話せなかったけれど、その後追いついてしまう「レイトトーカー」という状態もあります。これは「障害」ではなく個人差の範疇であり、発達の個人差として捉えられています。

コミュニケーション障害の治療と支援方法

言語療法による支援

言語療法(スピーチ・ランゲージ・セラピー)は効果的で、特に8週間以上続けることで効果が高まります。国家資格である言語聴覚士が、ことばや声に関する問題のあるお子さんへの支援を実施しています。言語聴覚士による支援では、ことばの遅れやコミュニケーションの取りにくさに対するトレーニング、こだわり行動やソーシャルスキルへの支援などを行っています。親が専門家のサポートを受けながら行う言語療法も、専門家によるものと同じくらい効果的であることがわかっています。

SST(ソーシャルスキルトレーニング)

コミュニケーション能力を高める指導として有名なのがSST(ソーシャルスキルトレーニング)です。対人関係や集団行動をスムーズに行えるようにしていく技能訓練で、放課後等デイサービスでもこのSSTを取り入れているところがあります。社会生活で必要なスキルを向上させ、状況に応じた振舞い方の習得を目指します。

行動療法

行動療法は、困っている症状を減らすための行動変化を学ぶ療法です。適切な行動パターンを学び、コミュニケーションにおける困難さを軽減することを目的としています。

吃音への対応方法

吃音の治療ができる数少ない専門家を最大限に活かすため、できるだけ自然治癒を待つ方針とし、悪化したり就学1年前程度まで待っても改善がない場合に治療施設に照会・紹介するという戦略が推奨されています。

吃音のある子どもへの対応で重要なのは、周りの大人がゆっくり(ゆったり)話すことです。子どもに「ゆっくりでいいよ」というのではなく、大人自身がゆっくり話すことがポイントです。また、目の前(現在)のことについて話すことも効果的です。過去について話すことはむつかしいためです。さらに、質問を減らして質問を控えめにし、子どもの話したいことに沿って会話をすることが推奨されています。

一方で、「ゆっくり話そう」「落ち着いて」などの声かけは逆効果となります。また、周囲から指摘したりからかったりすることも避けるべきです。

早期支援の重要性

「いつか自然とできるようになるだろう」と先送りをしていると、ますます人とのコミュニケーションに苦手意識を感じるようになりかねないため、なるべく早い段階から支援を行うことが大切です。特異的言語障害を有する小児の一部は自然に回復することもありますが、小児にコミュニケーション障害がある場合、親には医療機関へ受診するよう助言されています。

相談先について

気になる場合は、市町村が行なっている育児相談、健診の時に担当してくれた保健師、かかりつけ医、専門的な医療機関、児童発達支援の事業所、全国に設置されている教育センターや支援センターなどに相談することができます。言語聴覚士が在籍する病院・施設を条件を指定して検索できるサイトもあるので、活用してみることをお勧めします。

家庭でのコミュニケーションの接し方

基本的な接し方のポイント

発達障害のあるお子さまには、一人ひとりの障害特性に配慮した「接し方・伝え方」をしていくことが大切です。本人の気持ちを否定せずにメリット・目的や意味を伝えること、見通しを明確にして変更は事前連絡すること、注意を引き付けてから伝えること、タイムリーにフィードバック(指摘・注意する/褒める)すること、否定や叱責・指摘より肯定語で伝えることなどが重要なポイントです。

効果的なコミュニケーションの工夫

コミュニケーションの困りごとを軽減するためには、明確で直接的なコミュニケーションが効果的です。具体的な言葉を使い複雑な比喩や抽象的な表現を避けること、視覚的な情報を活用すること(写真や図表、手書きのメモなど)、口頭だけではなく視覚的な補助を用いて説明すること、簡潔にお子さま本人に何をしてほしいかをはっきりと伝えること、曖昧な言い方ではなくやってほしいことを直接的に伝えることが推奨されています。

話しかけるタイミングの重要性

発達障害の子どもに話しかける場合は、自分のタイミングではなく相手を優先し、子どもの状態を確認してから話しかけることが重要です。子どもが集中しているときや感情的な状態にあるときは、話しかけるタイミングを見極める必要があります。子どもが怒っているときは落ち着いてから話しかけ、遊びに夢中になっているときは静かな遊びに誘導してから話しかけるといった配慮が効果的です。

発達障害の種類別の対応方法

ADHDの場合は、長く説明するより簡潔に具体的に伝えることが大切です。本人が守れる約束を設定し、できたらご褒美を与えると達成感を得やすくなります。

ASDの場合は、その特徴を理解し本人が落ち着ける環境を用意しましょう。スケジュールや手順は文字や絵、写真を使い、視覚的に流れが一覧で見られるようにすると安心します。

褒め方のコツ

苦手なことはいくつかのステップに分け、少しずつ教えていく方法が効果的です。一つができたら思いっきりほめたりごほうびをあげたりすること、「できた」という成功体験をたくさん味わってもらうこと、成功させてから褒めて終わらせることで学習効果が高くなること、本人がコミュニケーションに成功する体験を積み重ねることが基本です。本人の興味・関心のある事柄を見つけ、それを基にすることでコミュニケーションが広がります。

家族自身のケアも重要

本人の行動を変えようとするよりも家族の心の安定を優先しましょう。家族に心の余裕がなくなるほど、本人の行動や考えを受け入れることが難しくなっていきます。発達障がいは個人差が大きく、人によって特性の性質や強弱が全く異なります。家族がどのような特性を持っているのかしっかりと把握することで、その人に適切な対応ができるようになるでしょう。

ペアレント・トレーニングの活用

ペアレント・トレーニングとは、アメリカで生み出された親が子どもの発達障害による行動を理解し、対応方法を習得するための訓練プログラムです。全国に設置されている教育センターや支援センターで相談を受け付けており、発達障害がある人の個々のケースにあわせて、実施しやすい対応方法などのアドバイスを行ってくれます。

発達性言語障害への具体的な支援方法

表出性言語障害への支援

言葉自体は理解しているが言葉の表出が遅れる「表出性言語障害」のお子様に対しては、言葉を使ったゲームや表現の練習を積極的に行うことが効果的です。表出性言語障害は言語理解は良好なのに発語が遅れるタイプで、就学前には約90%が正常範囲に追いつくと言われています。

受容性言語障害への支援

言葉自体を理解していないことにより言葉の表出も遅れている「受容性言語障害」のお子様には、繰り返しと模倣を通じて言語理解の基礎を固めることが推奨されます。受容性言語障害は言語理解と発語ともに遅れるタイプで、約60%に就学時にも遅れが認められることが多いため、早期からの支援が特に重要です。

家庭でできる言葉の発達を促す関わり

家庭でできる支援として、子どもの話したいことに耳を傾けること、子どもの興味・関心に沿った会話をすること、ゆっくりはっきり話しかけること、絵本の読み聞かせをすること、歌を一緒に歌うこと、日常の中で言葉がけを増やすことなどが挙げられます。

社会的コミュニケーション症の診断基準

社会的(語用論的)コミュニケーション症の診断基準(DSM-5)には、状況や聞き手の要求に合わせてコミュニケーションを変えるための能力の障害(遊び場と教室で喋り方を変える、相手が大人か子どもかで話し方を変えるなど)、会話や話術のルールに従うことの困難さ(相づちを打つ、誤解されたときに言い換えるなど)、字義どおりでない言葉(慣用句、ユーモア、隠喩など)を理解することの困難さ、これらの欠陥が効果的なコミュニケーション、社会参加、学業成績などに機能的制限をもたらすことが含まれます。

また、これらの症状が発達期早期より出現していること、他の医学的または神経疾患によるものではないこと、自閉スペクトラム症、知的能力障害、全般的発達遅延などではうまく説明されないことが条件となります。

自閉スペクトラム症(ASD)との関係

ASDのチェックポイント

自閉スペクトラム症(ASD)のチェックポイントとして、さまざまな環境や状況でコミュニケーションに問題が見られること、同じ行動(言葉)を繰り返す・強いこだわりがある・決まったものに執着する・感覚過敏や感覚鈍感がある(これらの症状が2つ以上ある)こと、0歳から4歳以下から上記2つの症状が見られることが挙げられます。

CCC-2(子どものコミュニケーション・チェックリスト)

CCC-2は、3歳から15歳の子どもを対象に言語障害の可能性をスクリーニングする検査です。言語の構造的側面(音声、文法、意味、首尾一貫性)、語用的側面(場面に不適切な話し方、定型化されたことば、文脈の利用、非言語的コミュニケーション)、自閉症児に特有な側面(社会的関係、興味関心)を評価します。

質問項目は10領域に分類され、計70問で構成されています。評価指標として「一般コミュニケーション能力群(GCC)」は臨床的なコミュニケーションの問題がある子どもを見極め、「社会的やりとり能力の逸脱群(SIDC)」は自閉症の子どもの言語的な特徴をとらえる助けとなります。

まとめ

子どものコミュニケーション障害は、言語障害、語音障害、小児期発症流暢症(吃音)、社会的コミュニケーション症など、さまざまな種類があります。小児の10%以上にみられる決して珍しくない状態であり、早期発見・早期支援が重要です。

発見の時期は障害の種類によって異なりますが、発達障害の特性は2歳から3歳ごろから目立ち始めることが多く、1歳半健診や3歳児健診で気づかれることもあります。言葉の遅れが気になる場合やコミュニケーションに困難さを感じる場合は、早めに専門家に相談することをお勧めします。

治療・支援としては、言語療法やSST(ソーシャルスキルトレーニング)などがあり、言語聴覚士などの専門家による支援が効果的です。また、家庭での適切な関わり方も重要で、明確で直接的なコミュニケーション、視覚的な情報の活用、成功体験の積み重ねなどが推奨されています。

大切なのは、一人ひとりの子どもの特性を理解し、その子に合った支援を行うことです。焦らず子どもの成長を見守りながら、必要に応じて専門家の力を借りることで、子どものコミュニケーション能力は着実に伸びていきます。気になることがあれば、かかりつけ医や保健師、児童発達支援の事業所など、身近な相談先に早めに相談してみてください。

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