適応障害の診断書を会社に提出する方法と休職期間の目安を解説

心の病

適応障害で診断書を会社に提出する場合、休職期間の目安は一般的に1〜3か月程度です。診断書は精神科や心療内科を受診し、医師の診察を経て発行されます。休職を希望する際は、診断書を人事部門や上司に提出し、傷病手当金などの制度を活用しながら療養に専念することが回復への近道となります。

仕事のストレスや人間関係の悩みから心身に不調を感じ、「適応障害かもしれない」と悩んでいる方は少なくありません。適応障害は決して珍しい病気ではなく、日本では増加傾向にあります。特に職場環境が原因となるケースが多く、早期に適切な対応をとることで回復が見込める疾患です。この記事では、適応障害の診断書のもらい方から会社への提出方法、休職期間の目安、そして休職中に利用できる傷病手当金などの制度まで、具体的な流れとポイントを詳しく解説していきます。適応障害で休職を検討している方、現在休職中の方、これから復職を目指している方にとって、実践的な情報をお伝えします。

  1. 適応障害とは何か
    1. 適応障害の主な症状と特徴
    2. 適応障害とうつ病の違い
    3. 適応障害の主な原因
    4. 適応障害になりやすい人の傾向
  2. 適応障害の診断書とは
    1. 診断書に記載される内容
    2. 診断書の活用場面
    3. 診断書の発行費用
  3. 診断書のもらい方
    1. 受診する医療機関の選び方
    2. 受診前に準備しておくべきこと
    3. 診察時のポイント
    4. 初診で診断書をもらえるケース
  4. 診断書を会社に提出する方法
    1. 提出先の確認
    2. 提出方法の選択肢
    3. 上司への伝え方
    4. 提出時に確認すべき事項
  5. 休職期間の目安
    1. 一般的な休職期間
    2. 統計データから見る休職期間
    3. 症状の程度による目安
    4. 診断書に記載される期間
    5. 休職期間を決める際の注意点
  6. 休職中に利用できる制度
    1. 傷病手当金の概要
    2. 傷病手当金の支給額と計算方法
    3. 傷病手当金の申請方法
    4. 労災との関係
    5. 自立支援医療制度
    6. その他の支援制度
  7. 休職中の過ごし方
    1. 休職初期(1〜2週間)の過ごし方
    2. 休職中期(1〜3か月)の過ごし方
    3. 休職後期(復職準備期)の過ごし方
    4. 休職中に避けるべきこと
  8. 復職に向けた準備
    1. 復職のタイミング
    2. 復職面談について
    3. 復職後の働き方
    4. 再発防止のために
  9. 会社側に求められる対応
    1. 休職申請時の対応
    2. 職場環境の改善
    3. 復職支援
  10. 適応障害の診断書についてよくある疑問
    1. 診断書は簡単にもらえるのか
    2. 診断書をもらったらすぐに休職すべきか
    3. 休職中に旅行に行っても問題ないか
    4. 休職中の転職活動について
    5. 休職が昇進や評価に影響するか
    6. 傷病手当金と失業保険の同時受給について
  11. まとめ

適応障害とは何か

適応障害とは、環境のストレスが要因となって心身に不具合が起きる疾患です。仕事や学校、家庭などの日常生活における特定のストレス因子に対して、うまく適応できないことで様々な症状が現れます。適応障害の重要な特徴として、ストレスの原因がはっきりしている点が挙げられます。職場環境、人間関係、転居、転職など、明確なきっかけがあり、そのストレス因子から離れると症状が軽減するという傾向があります。

適応障害の主な症状と特徴

適応障害では、精神的な症状、身体的な症状、そして行動面の変化が見られます。精神的な症状としては、不安感や抑うつ気分、イライラ、不眠、食欲不振、集中力の低下、無気力といったものが挙げられます。仕事に対するモチベーションが著しく低下したり、何をしても楽しめなくなったりすることもあります。身体的な症状としては、頭痛や腹痛、動悸、疲れやすさ、めまい、吐き気などが見られることがあります。ストレスが体の不調として現れるため、最初は内科を受診する方も多いです。行動面の変化としては、遅刻や欠勤が増える、引きこもりがちになる、過剰な飲酒や買い物をしてしまうなどの症状が現れることがあります。

適応障害とうつ病の違い

適応障害とうつ病は症状が似ているため混同されやすいですが、大きな違いがあります。適応障害の場合、ストレスの多い環境では具合が悪くなりますが、ストレスから解放されると体調は回復します。例えば、職場環境にストレスを感じている人でも、仕事が休みの日には友人と気晴らしに出かけられることがあります。趣味を楽しんだり、家族との時間を過ごしたりすることで、気分が改善することも多いです。一方、うつ病の場合は、休日などのストレスのない状態でも気分の落ち込みや意欲低下などの症状が現れます。何をしても楽しめない、好きだったことにも興味が持てないという状態が続きます。ただし、適応障害を放置していると、うつ病に移行してしまうこともあるため、早期の対応が重要です。

適応障害の主な原因

適応障害の原因となるストレス因子は人によって様々ですが、職場関連では特定のパターンが見られます。転職や転勤、部署移動による環境の変化は大きなストレス因子となります。新しい環境に適応しようとして心身に負担がかかり、適応障害を発症することがあります。責任のある仕事を任されることによる精神的なストレスも原因となります。昇進や新しいプロジェクトの責任者になることで、過度なプレッシャーを感じることがあります。同僚や上司との人間関係の不和も大きな要因です。特に上司との関係性は適応障害を引き起こす大きな原因となり得ます。毎日顔を合わせる相手との関係がうまくいかないと、大きなストレスとなります。パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメント被害も深刻な原因です。被害者は声を上げにくく、一人で抱え込んでしまうことが多いため、症状が悪化しやすい傾向があります。過労も重要な原因の一つです。仕事や日常生活で休むことなく働き続けた結果、心身に限界がきてしまうことがあります。

適応障害になりやすい人の傾向

適応障害は誰でもなる可能性がありますが、なりやすい傾向のある人もいます。真面目で責任感が強い人は、最後まで自分でやり遂げようとしがちで、周りに頼れないことが少なくありません。そのため、一人で悩みを抱えたり、キャパシティ以上のタスクを抱えたりして、過度なストレスを感じることがあります。完璧主義の人も注意が必要です。すべてを完璧にこなそうとするあまり、自分を追い込んでしまうことがあります。また、ストレス対処経験が不十分で、ストレス耐性が弱かったり、ストレスへの対処能力が低かったりする場合、悲観的あるいは未熟な性格の場合も、適応障害を発症しやすい傾向があります。環境の変化に敏感な人や、自分の感情を表現するのが苦手な人も、ストレスを溜め込みやすく、適応障害のリスクが高まります。

適応障害の診断書とは

診断書は、医師が患者の病状や治療の必要性を証明する公式な書類です。適応障害で休職する場合、会社に提出する重要な書類となります。診断書があることで、休職が医学的に必要であることを会社に示すことができ、傷病手当金などの各種支援制度を利用する際にも必要となります。

診断書に記載される内容

医師が発行する適応障害の診断書には、いくつかの重要な情報が含まれます。まず、患者の氏名や生年月日などの基本情報が記載されます。次に、病名として「適応障害」が正式に記載されます。場合によっては、「抑うつ状態」「不安障害」などと併記されることもあります。症状についての詳細な説明も記載されます。例えば、職場のストレスや対人関係によってどのような影響を受けているか、どの程度日常生活に支障をきたしているかが記述されます。治療の見込みや休養が必要な期間も重要な情報として記載されます。特に、休職を申請する場合、この期間の情報は非常に重要な要素となります。休職期間については、暫定的に1〜2か月の期間を記載することが多いです。そして、さらなる療養が必要であると判断された場合には、休職期間を延長するために、追加の診断書を作成します。また、環境調整に関する記載がされることもあります。職場のストレスによって適応障害になった人に対して、職場が復帰に向けて対応すべきことが書かれます。具体的には、労働時間の変更、残業や夜勤・出張の制限、配置転換、通院の必要性などを診断書に記載します。

診断書の活用場面

診断書は、職場との関係において様々な場面で活用されます。休職申請の証明書類としてはもちろん、傷病手当金などの給付金申請、職場での業務調整、労災認定の証拠資料、さらには職場復帰プログラムを利用する際の基礎資料として重要な役割を果たします。

診断書の発行費用

診断書の発行費用は、医療機関によって異なりますが、2,000円〜5,000円程度が一般的な目安です。保険適用外となるため、全額自己負担となります。医療機関によっては、即日発行に対応しているところもあれば、数日かかるところもあります。休職を検討している場合は、早めに相談しておくことが望ましいでしょう。

診断書のもらい方

適応障害の診断を受けるには、精神科や心療内科での専門的な診察が必要です。ここでは、受診から診断書発行までの具体的な流れを解説します。

受診する医療機関の選び方

医療機関を選ぶ際には、いくつかのポイントを確認すると安心です。精神科専門医が常勤しているかどうかは重要なポイントです。専門医がいれば、適切な診断と治療を受けることができます。産業医経験を持ち、会社への対応に理解が深いかどうかも確認しておくとよいでしょう。職場との連携がスムーズになります。通院のしやすさも大切です。定期的に通院することになるため、自宅や職場から通いやすい場所にある医療機関を選ぶとよいでしょう。予約の取りやすさも考慮しましょう。人気のあるクリニックは予約が取りにくいこともあります。初診の予約状況を確認しておきましょう。

受診前に準備しておくべきこと

受診の際には、自分の症状や状況を医師に正確に伝えることが大切です。事前にいくつかの情報を整理しておくと、診察がスムーズに進みます。症状が出始めた時期はいつ頃からか、きっかけとなった出来事は何か、日常生活や業務に出ている支障はどのようなものか、これまでどのような対処をしてきたかなどをメモにまとめて持参すると、診察で伝え漏れがなくなります。また、現在服用している薬があれば、お薬手帳を持参しましょう。既往歴や家族の病歴も聞かれることがあるため、把握しておくとよいでしょう。

診察時のポイント

受診の際は、感情的になりすぎず、客観的に症状や職場での困難を伝えるようにしましょう。具体的なエピソードを交えて説明すると、医師も状況を把握しやすくなります。診断書が必要な理由(休職、会社提出、傷病手当金など)を率直に相談することで、医師も適切な判断をしやすくなります。診断書をもらうことに後ろめたさを感じる必要はありません。必要な治療の一環として、堂々と相談しましょう。

初診で診断書をもらえるケース

診察で症状を確認し、今すぐ休養が必要と医師が判断した場合には、初診当日に診断書を発行することもあります。医師は、症状の程度や持続期間、生活に与える影響などのストレス因子を、ICD-10(国際疾病分類)やDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)の診断基準と照らし合わせながら慎重に診断します。すべてのケースで初診当日に診断書が出るわけではありませんが、症状が明らかで緊急性が高い場合は、早期に発行されることがあります。

診断書を会社に提出する方法

診断書を受け取ったら、次は会社への提出です。スムーズに手続きを進めるためのポイントを解説します。

提出先の確認

まず、診断書を誰に提出すべきかを確認しましょう。一般的には直属の上司や人事部門が窓口となりますが、会社によって異なる場合があります。就業規則を確認したり、人事部門に問い合わせたりして、正しい提出先を把握しておきましょう。

提出方法の選択肢

主治医に診断書を作成してもらったら、会社の人事担当や上司あるいは管理職へ直接手渡して伝えるのが一般的です。しかし、会社の人間関係や業務が原因で適応障害になった方は、直属の上司に直接伝えにくい場合もあるでしょう。その場合は、会社によっては手紙やメールで伝えることもできます。事前に人事部門に確認しておくとよいでしょう。また、体調が悪く出社が難しい場合は、郵送での提出が認められることもあります。この場合は、配達記録が残る方法(書留など)で送付することをおすすめします。

上司への伝え方

休職を申し出る際には、いくつかのポイントを意識するとよいでしょう。まず、診断書という客観的な証拠をもとに話を進めることが大切です。「医師から休養が必要と診断されました」という形で伝えると、感情的なやり取りを避けることができます。業務の引き継ぎについても触れておくとよいでしょう。「引き継ぎ事項については資料を作成します」など、責任感を持って対応する姿勢を示すことで、円滑に話を進めることができます。連絡方法についても確認しておきましょう。休職中の連絡窓口や連絡頻度について、事前に取り決めておくと安心です。

提出時に確認すべき事項

診断書を提出する際には、いくつかの重要な点について確認しておきましょう。休職に関する就業規則の内容(休職期間の上限、給与の取り扱いなど)、傷病手当金の申請手続きについて、休職中の社会保険料の支払い方法、休職中の連絡体制、復職時の手続きについてなどです。これらを事前に確認しておくことで、休職中の不安を軽減することができます。

休職期間の目安

適応障害による休職期間は、症状の程度や回復状況によって異なります。ここでは、一般的な目安と期間を決める際の考え方を解説します。

一般的な休職期間

適応障害による休職期間は、一般的には1〜3か月程度で回復するケースが多いとされています。ただし、これはあくまで目安です。症状が比較的軽い場合には、1か月程度で回復が見込めることもあります。一方で、ストレスの要因が深刻であったり、心身への影響が大きかったりする場合には、3か月以上、場合によっては1年を超えるような長期の療養が必要となるケースも珍しくありません。

統計データから見る休職期間

厚生労働省の調査によると、メンタル不調による平均休職期間は約107日(約3.5か月)とされています。また、再発後の平均休職期間は約157日(約5か月)と、1回目よりも延長する傾向があるという研究結果も出ています。これらのデータから、初回の休職で十分に回復することの重要性がわかります。焦って復職してしまうと、再発のリスクが高まり、結果的に休職期間が長引く可能性があります。

症状の程度による目安

症状の程度によっても休職期間は変化します。症状が軽度な場合は1か月程度、中等度の場合は3か月から6か月程度、重度の場合は1年以上の休職期間を必要とする場合もあります。アメリカ心理学会やWHOでは、ストレス要因が消えてから6か月で軽快するとしています。つまり、ストレスの原因となっていた環境から離れることで、回復に向かうことが期待できます。

診断書に記載される期間

医師の診断書では「1か月の休職を要す」といった期間を記載することが多いです。これは、症状に応じて更新される前提で、比較的短い期間を記載するのが一般的だからです。最初に診断書を提出する際は1か月から3か月程度の期間で設定し、その後は回復の状況を見ながら、医師の判断を仰ぎ延長を検討するのが一般的な流れです。症状の回復経過を見ながら復帰の判断または休職の延長を検討していくことになるため、定期的に医師の診察を受けることが大切です。

休職期間を決める際の注意点

休職期間は、焦って短く設定しないことが重要です。十分に回復しないまま復職すると、再発のリスクが高まります。また、適応障害の原因が職場にある場合、その環境に戻ること自体が強いストレスとなり、回復を妨げる要因になります。職場復帰を急ぐよりも、まずはストレスの要因が取り除かれているか、または自分がそのストレスに対処できるようになっているかを見極めることが大切です。医師や産業医と相談しながら、無理のない復職計画を立てることが、長期的な回復につながります。

休職中に利用できる制度

休職中の経済的な不安を軽減するために、様々な支援制度を活用することができます。主な制度について詳しく解説します。

傷病手当金の概要

傷病手当金は、休職中の経済的な不安を軽減するための制度です。健康保険に加入している場合、一定の条件を満たせば、標準報酬日額の3分の2程度が最長1年6か月支給されます。傷病手当金を受給するには4つの条件を満たす必要があります。第一に、業務外の理由による病気やケガの休養であることです。適応障害も対象となります。第二に、仕事に就くことができない状態であることです。医師の診断書が必要となります。第三に、連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったことです。支給開始の前に「待機期間」として、連続する3日間の欠勤が必要になります。第四に、休業した期間について給与の支払いがないことです。

傷病手当金の支給額と計算方法

1日あたりの傷病手当金は、「標準報酬月額 ÷ 30日 × 2/3」で計算されます。例えば、標準報酬月額が30万円の場合、1日あたりの支給額は約6,667円となります。月額では約20万円の支給を受けることができます。

傷病手当金の申請方法

傷病手当金を申請するには、「傷病手当金支給申請書」を作成し、健康保険組合に提出します。申請書には、本人記入欄・事業主記入欄・療養担当者(医師)記入欄があり、該当箇所に必要事項をそれぞれ記入します。主治医には、仕事に就くことができないことを証明する欄に記入してもらいます。事業主には、申請期間について労務と給与に関する証明を記入してもらいます。本人記入欄・事業主記入欄・療養担当者記入欄のすべてが埋まったら、勤務先が健康保険組合または協会けんぽに送付し、振込を待つ流れとなります。傷病手当金の申請は事後申請となり、申請から約2週間で支給されることが一般的です。

労災との関係

パワハラや職場でのいじめ、過重労働などが原因で適応障害になった場合は、業務上の事由による発症として、労働災害と認定される可能性があります。労災認定されると、休業補償給付が支給されます。労災の場合は、休業4日目から給付基礎日額の80%(休業補償給付60%+休業特別支給金20%)が支給されます。傷病手当金よりも給付率が高いですが、認定には時間がかかることがあります。業務が原因で適応障害を発症した可能性がある場合は、労働基準監督署や専門家に相談することをおすすめします。

自立支援医療制度

自立支援医療制度を利用すると、精神科の通院医療費の自己負担が1割に軽減されます。通常の3割負担から大幅に軽減されるため、長期の通院が必要な場合には大きな助けとなります。申請は市区町村の担当窓口で行います。医師の診断書と申請書を提出して審査を受けます。

その他の支援制度

障害年金は、原則として適応障害は対象外とされていますが、症状が長期化し重度の場合には、例外的に認められることがあります。また、休職が長期化した場合や退職を検討する場合には、雇用保険の失業給付、障害者手帳の取得、就労移行支援事業所の利用なども選択肢として考えられます。

休職中の過ごし方

休職中は、回復に専念することが最も重要です。時期に応じた適切な過ごし方を解説します。

休職初期(1〜2週間)の過ごし方

休職初期は、とにかく休養することが大切です。心身ともに疲弊している状態なので、まずは十分な睡眠をとり、体を休めることに専念しましょう。この時期は、「何かしなければ」という焦りを感じることがありますが、何もしないことも治療の一環です。好きなことをして過ごしたり、ぼんやりと過ごしたりすることで、心身の回復を図りましょう。

休職中期(1〜3か月)の過ごし方

少しずつ体調が回復してきたら、生活リズムを整えることを意識しましょう。毎日同じ時間に起床し、食事をとり、適度な運動をするなど、規則正しい生活を心がけます。また、自分がストレスを感じやすい場面や、ストレスへの対処法について考える時間を持つとよいでしょう。カウンセリングを受けることも効果的です。この時期から、少しずつ外出する機会を増やしていくとよいでしょう。近所を散歩したり、買い物に出かけたりすることで、社会復帰への準備を始めます。

休職後期(復職準備期)の過ごし方

復職が近づいてきたら、より実践的な準備を始めます。図書館に通って読書をしたり、通勤と同じ時間に起きて外出したりするなど、仕事を想定した生活リズムを作っていきます。リワークプログラムを利用することも効果的です。リワークとは、復職支援プログラムのことで、医療機関や地域障害者職業センターなどで実施されています。グループワークやストレス対処法の習得など、復職に向けた準備を支援してもらえます。

休職中に避けるべきこと

休職中は、仕事のことを考えすぎないようにしましょう。「迷惑をかけている」「早く復帰しなければ」という思いから焦りを感じることがありますが、そのような考えは回復を妨げます。また、休職中にアルコールに頼りすぎないよう注意しましょう。一時的に気分が楽になることがありますが、依存症のリスクがあり、回復を遅らせる原因となります。SNSで仕事関連の情報を見ることも避けた方がよいでしょう。ストレスの原因となった職場の情報に触れることで、症状が悪化することがあります。

復職に向けた準備

休職から復職へ移行する際には、慎重な準備が必要です。復職を成功させるためのポイントを解説します。

復職のタイミング

復職のタイミングは、主治医と慎重に相談して決めることが大切です。自分では「もう大丈夫」と思っていても、医学的にはまだ休養が必要な場合があります。復職の目安としては、規則正しい生活リズムが維持できていること、日中の眠気や疲労感が改善していること、外出や軽い運動ができるようになっていること、仕事に対する意欲が回復してきていることなどが挙げられます。

復職面談について

復職の準備が整ったら、会社との復職面談を経て、段階的に職場復帰を進めていきます。復職面談では、現在の体調、通院状況、復職後の働き方の希望(時短勤務、業務内容の調整など)、再発防止のための配慮事項などについて話し合います。産業医がいる会社では、産業医との面談も行われることがあります。産業医は、医学的な観点から復職の可否を判断し、会社への提言を行います。

復職後の働き方

復職後は、いきなり以前と同じペースで働くのではなく、段階的に業務量を増やしていくことが望ましいです。時短勤務から始めて徐々にフルタイムに戻す、残業を制限する、業務内容を調整するなど、無理のない復職プランを会社と相談しましょう。定期的に主治医の診察を受け、体調の変化に注意することも大切です。少しでも異変を感じたら、早めに相談することで、再発を防ぐことができます。

再発防止のために

適応障害は、ストレス要因が取り除かれれば回復する疾患ですが、同じ環境に戻ると再発するリスクがあります。再発防止のためには、自分がストレスを感じやすい場面を把握し、対処法を身につけておくことが大切です。また、一人で抱え込まず、周囲に相談できる環境を作ることも重要です。オンとオフの切り替えを意識することもおすすめします。仕事や学校でストレスを感じることがあっても、オフの時間に気晴らしができれば、ストレスを軽減することができます。

会社側に求められる対応

従業員が適応障害を発症した場合、会社側にも適切な対応が求められます。

休職申請時の対応

従業員から休職の申し出があった場合は、速やかに手続きを進めることが大切です。診断書に基づいて休職を認め、傷病手当金などの制度について説明しましょう。休職中は、適度な連絡を保ちつつ、過度な連絡は避けることが重要です。連絡の頻度や方法については、本人と事前に取り決めておくとよいでしょう。

職場環境の改善

従業員が適応障害を発症した場合、職場環境に問題がないか見直すことも重要です。業務量の調整や部署異動などの大きなアクションはもちろん、場合によっては出社時刻や座席位置、ミーティング方法など、細かい部分を調整するだけでも効果を発揮するケースがあります。ハラスメントが原因の場合は、加害者への対応と再発防止策を講じる必要があります。

復職支援

従業員の復職に際しては、段階的な復帰プログラムを用意することが望ましいです。いきなり以前と同じ業務量を求めるのではなく、本人の体調に配慮しながら、徐々に業務量を増やしていくことが大切です。定期的に面談を行い、体調の変化や困りごとがないか確認することも重要です。再発の兆候を早期に発見し、対処することができます。

適応障害の診断書についてよくある疑問

適応障害の診断書に関して多くの方が抱える疑問についてお答えします。

診断書は簡単にもらえるのか

適応障害の診断は、医師が症状の程度や持続期間、生活に与える影響などを、診断基準に照らし合わせて慎重に判断します。症状があれば診断書をもらうことはできますが、「簡単に」というわけではありません。自分の症状を正確に伝え、医師の判断を仰ぐことが大切です。

診断書をもらったらすぐに休職すべきか

必ずしもすぐに休職する必要はありません。診断書の内容や自分の状態に応じて、休職するか、働きながら通院治療を続けるかを検討することができます。ただし、医師が休職を勧めている場合は、その判断を尊重することが回復への近道です。

休職中に旅行に行っても問題ないか

休職中の過ごし方は、回復を目的としたものであれば問題ありません。気分転換のための旅行も、回復に有効な場合があります。ただし、SNSへの投稿などで会社に知られると、トラブルになる可能性があるため注意が必要です。主治医に相談の上、判断することをおすすめします。

休職中の転職活動について

法律上は禁止されていませんが、休職中は治療と回復に専念することが基本です。傷病手当金を受給している場合、就労可能な状態と判断されると支給が停止される可能性もあります。転職を考えている場合は、まずは回復を優先し、復職または退職後に検討することをおすすめします。

休職が昇進や評価に影響するか

会社によって対応は異なります。法律上、休職を理由とした不当な扱いは禁止されていますが、実際には評価に影響が出る場合もあります。ただし、無理に働き続けて症状を悪化させるよりも、しっかり治療して復職する方が、長期的なキャリアにはプラスになることが多いです。

傷病手当金と失業保険の同時受給について

傷病手当金と失業保険(雇用保険の基本手当)を同時に受給することはできません。傷病手当金は「働けない状態」に対して支給され、失業保険は「働ける状態で求職活動中」に支給されるためです。ただし、傷病手当金の受給期間終了後に失業保険を受給することは可能です。

まとめ

適応障害は、早期に適切な対応をとれば回復が見込める疾患です。「自分は適応障害かもしれない」と感じたら、一人で抱え込まず、早めに精神科や心療内科の専門医に相談することが大切です。診断書をもらい、休職することは決して恥ずかしいことではありません。むしろ、自分の健康を守るための適切な判断です。休職期間の目安は1〜3か月程度ですが、症状の程度によって異なります。焦らずに自分のペースで回復を目指し、医師と相談しながら復職のタイミングを見極めましょう。

会社への診断書提出は、人事部門や上司に直接手渡しするのが一般的ですが、郵送やメールでの提出が認められる場合もあります。休職中は傷病手当金や自立支援医療制度など、利用できる制度を上手に活用することで、経済的な不安を軽減しながら治療に専念することができます。

適応障害からの回復は、自分自身を見つめ直し、より健康的な働き方や生き方を考えるきっかけにもなります。この経験を通じて、ストレスとの向き合い方を学び、再発を防ぎながら、充実した生活を送れるようになることを願っています。

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