場面緘黙症の認知行動療法を保険適用で受けられる病院の探し方

場面緘黙症

場面緘黙症の認知行動療法を保険適用で受けられる病院は、精神科や心療内科の中でも認知療法・認知行動療法に習熟した医師が在籍する医療機関に限られます。保険適用の条件として、医師または医師と看護師が1回30分以上、最大16回まで実施することが定められており、心理士やカウンセラーによる認知行動療法は保険適用外となります。病院を探す際は、かかりつけの小児科医やスクールカウンセラーに相談して専門医療機関を紹介してもらう方法が最も確実です。

場面緘黙症とは、家庭などの安心できる場面では普通に話せるのに、学校や職場など特定の社会的場面になると話すことができなくなる不安症の一種です。本人の意思で「話さない」のではなく、話したくても「話せない」状態であることが大きな特徴といえます。この症状に対して最も効果が期待されている治療法が認知行動療法であり、多くの保護者や当事者が保険適用で受けられる病院を探しています。この記事では、場面緘黙症の基本的な理解から、認知行動療法の具体的な内容、保険適用の条件と費用、そして適切な病院の探し方まで、実践的な情報を詳しく解説していきます。

場面緘黙症とは何か

場面緘黙症は、特定の社会的場面で一貫して話すことができなくなる症状であり、米国精神医学会の診断基準DSM-5では不安症群に分類されています。英語では「Selective Mutism」と呼ばれ、日本語では「選択性緘黙」とも表記されますが、ICD-11(世界保健機関の国際疾病分類2019年改訂版)からは「場面緘黙」が正式な和名として用いられる予定となっています。

この症状で最も重要な点は、場面緘黙が本人の性格や意志の問題ではないということです。「人見知りが激しい」「恥ずかしがり屋」といった性格特性とは根本的に異なり、話したいのに身体が反応せず声が出せない状態に陥っています。言葉にしたくてもできず、本人自身が最も苦しんでいるのです。

場面緘黙症の主な症状

場面緘黙症の症状は、単に話せないということだけにとどまりません。話すことができない状態と同時に身体が固まってしまう「緘動(かんどう)」という症状を伴うケースも少なくありません。

具体的には、学校で授業中に当てられても発言することができない、トイレに行きたいと言えない、教科書を貸してほしいと友達に頼めないといった場面で症状が現れます。体育や外遊びなどで身体を動かしたいと思っているのに動けなくなることもあります。また、人前に出ると動悸や発汗、顔の赤み、手の震えなどの自律神経症状が現れることもあります。これらの症状は特定の場面や状況に限定されて現れるため、学校では一言も話せないのに家に帰ると家族と普通に会話ができるという形になります。

場面緘黙症の発症時期と有病率

場面緘黙症の有病率は0.2〜0.7%程度とされており、やや女児に多いという報告があります。発症時期は通常5歳未満であり、幼稚園や保育園への入園、小学校への入学など社会的な交流や発表の機会が増える時期に症状がはっきりしてくることが多いです。

多くの場合、集団生活が始まる4歳以降に症状が発見されます。「うちの子は家では普通に話すのに、園では全然話さない」と入園後に初めて気づく保護者も少なくありません。早期発見・早期支援が重要であり、気づいた段階でできるだけ早く専門家に相談することが推奨されています。

場面緘黙症の原因

場面緘黙症の特定の原因や発症メカニズムは正確には解明されていませんが、本人の気質面と環境的な要因の両面から影響を受けていると考えられています。

気質的要因としては、不安や緊張を感じやすい傾向が挙げられます。これは脳の扁桃体という部位が関係していると言われており、場面緘黙症の人は周囲の刺激に対して扁桃体が過剰に反応してしまうため症状が現れると考えられています。環境要因としては、入園や入学、就職、転勤などの急激な環境変化が挙げられ、新しい環境や異なる文化に慣れることへの困難さや大きなストレスが発症の引き金になることがあります。

ここで強調しておきたいのは、場面緘黙症は「親の育て方のせい」ではないということです。生まれつき危険に対して敏感な気質を持つ子どもが発症しやすいと言われており、親の過保護やしつけなどが原因と考えるのは誤りです。

場面緘黙症の診断基準

場面緘黙症の診断は、DSM-5-TR(アメリカ精神医学会の診断基準)に基づいて行われます。DSM-5-TRでは場面緘黙は不安症群に分類されており、診断のポイントは「他の状況では話せるにもかかわらず、特定の場面や状況では話すことができない」という症状があることです。

診断基準の主な要件として、他の状況で話しているにもかかわらず話すことが期待されている特定の社会的状況において話すことが一貫してできないこと、その障害が学業上や職業上の成績または対人的コミュニケーションを妨げていること、障害の持続期間が少なくとも1ヶ月であること(学校の最初の1ヶ月だけに限定されない)、話すことができないことがその社会的状況で要求されている話し言葉の知識や話すことへの楽しさの不足によるものではないこと、そしてコミュニケーション症や自閉スペクトラム症、統合失調症などでは説明できないことが挙げられます。

ICD-10(世界保健機関の国際疾病分類)では場面緘黙は「情緒障害」に分類されており、DSM-5の「不安症」という分類とは異なる位置づけとなっています。しかしいずれの基準においても、診断の核心は特定の場面でのみ話すことができないという症状にあります。

場面緘黙症の治療法と認知行動療法

場面緘黙症は脳の損傷や先天的異常などの不可逆的・恒久的な器質障害ではなく、社交不安症の一つとして考えられる症状です。したがって、適切な治療的介入を行えば症状の改善が可能です。海外では場面緘黙を小児期の不安症として捉え、「自分が話す様子を人から聞かれたり見られたりすることへの恐れ」という恐怖症の一種として治療や支援を行う考え方が主流となっています。

治療の目標は単に「自発的に話せるようになる」ことだけではありません。その背景にある「不安」にうまく対応できるスキルを身につけることが、場面緘黙の改善において最も重要だと考えられています。

認知行動療法(CBT)の概要

認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy、略称CBT)は、場面緘黙症の治療において最も効果が期待される治療法です。この治療法は、自分自身の考え方や行動のクセ・特徴を把握し、どのようにすれば症状を和らげることができるのか、ストレスを軽減することができるのかを考えていく方法です。海外の治療実績において、場面緘黙の治療にも効果があると報告されています。

認知行動療法の中でも場面緘黙症の治療によく用いられるのは「エクスポージャー法(暴露療法)」です。これは学校や職場などでの不安な状況に対して、支援者と一緒に負担が軽いものから段階を踏んで慣れていくという手法です。例えば最初は信頼できる人の前で小さな声を出すことから始め、徐々に声の大きさを上げていき、最終的には教室で発言できるようになることを目指します。

系統的脱感作法とフェーディング法

系統的脱感作法は、徐々に不安に慣らし克服していく治療法です。場面緘黙症の場合は、話せる場面を段階的に広げていくことになります。

刺激フェーディング法(フェードイン手続きとも呼ばれる)も有効な方法の一つです。これは話しやすい人がいる環境で、少し苦手な人が途中で入ってきて、その不安に慣らしていくという方法です。例えば、家で母親とだけ話せる子どもの場合、母親と話している場面に父親が少しずつ加わり、次に兄弟、そして親戚や友人と、徐々に話せる相手を広げていきます。

治療においては本人が自信を育み成功体験を得ることが重要であり、その過程で支援者が肯定的なフィードバック(承認や称賛、好きなものを与えることなど)を行い努力を認めることが大切です。

薬物療法の位置づけ

場面緘黙そのものを直接治療する薬は存在しません。しかし、不安症の治療などに用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という抗うつ剤が有効であるという報告があります。

SSRIはうつ状態や不安症状を緩和・軽減する効果が期待できますが、場面緘黙自体を治療改善するものではありません。そのため、認知行動療法と併せて行っていくことが多いとされています。場面緘黙は社会不安障害と共通点が多く、不安症や自閉スペクトラム症の易刺激性を併発している場合にはそれらの症状を緩和するための薬物療法を併用することがあります。

認知行動療法の保険適用条件と費用

認知行動療法を保険適用で受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があります。最も重要な点は、誰が治療を行うかによって保険の適用・適用外が決まるということです。

保険適用となる条件

医師および医師と看護師が行う認知行動療法は保険適用となります。具体的な条件として、認知療法・認知行動療法に習熟した医師、または医師と看護師が実施すること、1回30分以上であること、16回までという回数制限があることが定められています。

重要なポイントとして、保険の適用対象は医師、または医師および看護師に限られます。 心理士、精神保健福祉士、作業療法士などが行う認知行動療法は保険の適用対象外となります。

診療報酬と患者負担額

認知療法・認知行動療法の診療報酬(1日につき)は、医師による場合が480点、医師及び看護師が共同して行う場合が350点と定められています。1点は10円に相当するため、医師による場合は4,800円、医師及び看護師が共同して行う場合は3,500円となります。

保険適用(3割負担)の場合、患者の自己負担額は医師による場合で約1,440円、医師及び看護師が共同して行う場合で約1,050円となります。子ども医療費助成制度の対象となる場合は、さらに自己負担が軽減されることもあります。

保険適用の現状と課題

認知行動療法は2010年に保険適用となり、うつ病の治療選択肢の一つとなりました。しかし、1回の面談が30分以上と時間がかかり、治療の訓練も難しいことから、実施している医療機関は限られているのが現状です。

場面緘黙症に対する認知行動療法を保険適用で受けるためには、保険適用の条件を満たす医療機関で医師または医師と看護師による治療を受ける必要があります。そのような医療機関を見つけること自体が、多くの保護者や当事者にとって大きな課題となっています。

保険適用外の場合の費用

カウンセラーや心理士が行う認知行動療法は保険適用外となり、全額自己負担となります。この場合、1回あたり5,000円から15,000円程度の費用がかかることが一般的です。

ただし、保険適用外であっても専門性の高いカウンセラーによる治療が効果的な場合もあります。費用と効果のバランスを考慮して選択することが重要であり、経済的な面だけでなく治療者の専門性や経験も含めて総合的に判断することが望ましいでしょう。

場面緘黙症の病院・クリニックの探し方

場面緘黙症の治療を受けられる病院を探すことは、多くの保護者や当事者にとって大きな悩みの種です。ここでは効果的な病院の探し方を具体的に解説します。

まず相談すべき窓口

お子さんが場面緘黙症かもしれないと感じた場合、まず身近な窓口に相談することをお勧めします。担任の先生やスクールカウンセラー、かかりつけの小児科医、地域の子どもセンター、保健所、児童相談所などが相談先として挙げられます。

場面緘黙症の子どもは自分から症状を説明できない場合がほとんどです。より正確な診断を受けるために、これらの窓口から専門の機関や医師を紹介してもらうことが効果的です。特にかかりつけの小児科医からの紹介状があると、専門医療機関への受診がスムーズになることが多いです。

受診すべき診療科

場面緘黙症の場合は精神科・心療内科を受診します。特に、不安症や発達障害に詳しい医師が在籍している医療機関、心理士や言語聴覚士が在籍している医療機関、児童精神科や思春期精神科がある医療機関(子どもの場合)を探すことをお勧めします。

相談機関を介さずに直接病院へ行く場合は、心療内科や精神科を受診してみましょう。その上で必要があればカウンセリングを受けていくことが推奨されます。

病院探しの実際と注意点

良い病院や良い先生に巡り合えればラッキーですが、正直なところ病院探しは骨が折れる作業です。探すのが大変であれば、とりあえずかかりつけの小児科に相談して紹介状と予約を入れておくことをお勧めします。

多くの専門医療機関は予約が取りにくく、数ヶ月待ちということも珍しくありません。その間に余力があれば別の病院を探してみることも一つの方法です。

注意が必要なのは、診療内容の欄に「場面緘黙症」と明記があっても、実際に受診してみると精神疾患の一つという程度の認識で治療や支援に結びつかない場合もあるということです。 事前に電話で問い合わせて、場面緘黙症の治療経験があるかどうか確認することを強くお勧めします。

療育センターでの注意点

療育センターでは無料で発達検査などを丁寧に行ってもらえる場合もありますが、場面緘黙症に関する専門医がいない場合は適切な支援が受けられないことがあります。地域によって取り扱う診療科目も異なるため、直接電話して対応可能かどうか問い合わせてみることが重要です。

医療機関の探し方のポイント

効果的に医療機関を探すためのポイントをまとめると、まずかかりつけ医や学校関係者に相談して紹介を受けること、電話で事前に場面緘黙症の治療経験を確認すること、認知行動療法を保険適用で実施しているか確認すること、予約が取れるまでの待ち時間を確認し必要に応じて複数の医療機関を並行して探すことが挙げられます。

支援団体と相談先

場面緘黙症の治療や支援においては、医療機関だけでなく支援団体や相談機関も重要な役割を果たしています。

かんもくネット

かんもくネット(Knet)は「場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体」として2007年に設立されました。緘黙児の家族、場面緘黙経験者、教育や医療関係者などの会員からなり、心理士と元緘黙児の保護者が事務局を運営しています。

かんもくネットでは、場面緘黙の症状をもつ青年や成人が教育や雇用の分野で症状を説明したり「合理的配慮」について話し合う際に使う資料としてリーフレットを作成しています。大学や専門学校、就労やアルバイト先、また医療や福祉機関で活用できる実用的な資料です。ただし、かんもくネットでは個別に支援を行ったり医療・相談機関を紹介したりすることは行っていません。

場面緘黙親の会

場面緘黙親の会は、場面緘黙の子どもとその家族の支援、場面緘黙に関する正しい知識と理解の普及啓発を目的としています。場面緘黙の子どもを持つ保護者や支援者によって、LINEオープンチャットの運営やはぴもくcafe(交流会)などの活動を行っています。

2025年10月には文部科学省の中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会特別支援教育ワーキンググループにおいて、場面緘黙親の会による意見発表が行われました。教育現場における場面緘黙症への理解と支援体制の構築が政策レベルで議論される契機となっており、今後の支援拡充が期待されています。

その他の相談先

その他の相談先として、教育相談センター、精神保健福祉センター、発達障害者支援センター、療育センター・発達支援センター、通級指導教室、スクールカウンセラーなどが挙げられます。これらの機関は地域によって対応できる内容が異なるため、まずは問い合わせて確認することが大切です。

大人の場面緘黙症と就労支援

大人の場面緘黙症の方には就労支援サービスを利用することも選択肢の一つです。Kaien(カイエン)などの就労支援機関では、場面緘黙を含む発達障害のある方への自立訓練や就労移行支援を提供しており、東京、神奈川、埼玉、千葉などで事業所を展開しています。

学校での支援と対応

場面緘黙症の子どもへの支援において、学校での対応は極めて重要です。学校教育においては場面緘黙は「情緒障害」に分類されており「特別支援教育」の対象です。また「障害者差別解消法」によって学校や職場に対して「合理的配慮の提供」の義務が明確に示されています。

学校での支援の基本原則

場面緘黙症の子どもへの支援において最も重要なのは、子どもを責めないことです。話さないのではなく話せないということを理解し、「なぜ話せないの」と圧力をかけることは絶対に避けなければなりません。不安と緊張がある中で圧力がかかるともっと不安緊張が強くなり、さらに話せなくなってしまいます。

ポジティブな体験を積むことも重要です。成功体験を重ねることで自信を育み、子どもが自然に話せるようになるのを待つ姿勢が求められます。非言語的なコミュニケーション(アイコンタクトやジェスチャーなど)を通じた意思疎通も活用していきます。

具体的な対応方法

家庭と学校での情報共有と連携を図ることが大切です。支援方法について家庭と学校で話し合えていない場合も多いため、連絡帳などを使用してこまめに情報交換を行いましょう。

話すことを強要せず、代わりにカードやタブレットを使ったコミュニケーションを図ることも有効です。子どもが自分に合った発表の方法を選べるようにし、「無理にしゃべらなくてもよい」と保障してあげることが大切です。紙に言葉を書いてコミュニケーションができればよいと考え、言葉を使わないゲームなどを取り入れることも効果的です。

連携の重要性

場面緘黙症の支援では「家庭」「学校」「医療機関」「相談機関」の連携が極めて有効です。場面緘黙の子どもは授業の妨害をするわけでもなく誰に迷惑をかけるわけでもないので、教育現場では「ただおとなしい子」として見逃され置きざりにされやすい傾向があります。早期に気づき適切な支援につなげることが重要です。

家庭でできるサポート

家庭は子どもにとって最も安心できる場所です。場面緘黙症のお子さまへの家庭でのサポートは、治療の効果を高める上で非常に重要な役割を果たします。

安心できる環境づくり

場面緘黙症のお子さまは「話したくない」のではなく「話せない」状態にあります。そのため「どうして話さないの?」と責めたり無理に話させようとしたりすると、かえって不安が強まってしまいます。まずは話さなくても受け入れられる環境をつくり、安心感を与えることが大切です。

家では自由に話せる環境を維持しつつ、学校などでの困難について話を聞いてあげましょう。ただし「今日は学校で話せた?」などと毎日確認するのは避けましょう。これはプレッシャーになってしまいます。

小さな成功体験を積み重ねる

親御さんにだけでも声を出せたときは「ちゃんと伝えられたね」と褒めることで、お子さまの自信につながります。「先生にうなずけた」「友達と目を合わせられた」など話すこと以外の小さな成功体験も積み重ねることで、症状が軽減する可能性があります。成功体験を積み重ねることで子どもは徐々に自信をつけていきます。焦らずスモールステップで進めることが重要です。

親が避けるべき対応

緘黙症状が出ている場面で「挨拶しなさい」などと無理やり挨拶やお礼、話をさせようとすることは避けるべきです。これをやっても本人は困ってしまうだけで、わざわざ失敗経験をさせていることにしかなりません。

また場面緘黙は「経験不足」から生じているものではありません。塾や習いごと、放課後等デイサービスなどにたくさん通わせても緘黙症状の改善にはつながりません。むしろ子どもの負担を増やすことになりかねません。「なぜ話せないの」と問い詰める、人前で話すことを強要する、他の子どもと比較する、「努力が足りない」と責める、過度に心配して過保護になるといった対応は避けましょう。

親同士のつながり

同じ悩みを持つ親同士でつながることで情報交換ができたり精神的な支えになったりします。場面緘黙親の会ではLINEオープンチャットやはぴもくcafeなど保護者主体の活動を行っています。一人で抱え込まず支援団体や親の会を活用することをお勧めします。

大人の場面緘黙症と治療

場面緘黙症は主に子どもに見られる症状ですが、大人にも存在します。子どもの頃に発症し適切な治療やサポートを受けられなかった場合、成人期まで症状が持ち越されることがあります。また成人になってから新たに発症するケースも報告されています。

大人の場面緘黙症の特徴

幼少期の場面緘黙は自然に症状がなくなったり適切な治療によって症状が落ち着いていくことが多いですが、大人の場面緘黙は治るまでに時間がかかることが多いとされています。

大人の場面緘黙症の場合も基本的な治療法は子どもと同様で、認知行動療法、系統的脱感作法、薬物療法、環境調整などが行われます。治るまでに時間がかかりますが、社会生活において症状とうまく付き合っていくためには様々な工夫を行うことが大切です。

職場での対応

場面緘黙症の支援団体が作成しているリーフレット等を活用し、周囲の方に理解を求めることも有効です。周囲の人たちが場面緘黙の症状や困りごとへの理解をしてくれると、当事者もとても暮らしやすくなります。本人の工夫と合わせて周りの人に働きかけることも良い方法です。

治療の効果と長期的な経過

認知行動療法をはじめとする適切な治療を受けることで、場面緘黙症の症状は改善することが多いです。行動療法は行動の変化を通して症状の緩和を目指す治療法であり、円滑な発話やコミュニケーションができる場所・状況を段階的に広げていき、成功体験の積み重ねを目指します。

治療の効果を高めるためには医療機関での治療に加え、学校などの関係者と協力しながら進めることも重要です。ただし効果には個人差があるため、続けるかどうかについては主治医と相談することが推奨されています。

最近の縦断的研究では、場面緘黙症の症状は成人期までにかなり改善しますが、併存する社会恐怖などの不安障害は残存することが多いことが示されています。経過についても不安症状と関連が深いことが示唆されており、早期支援の重要性が改めて認識されています。

気づいたらできるだけ早期に支援を行うことで症状を軽くすることが可能です。場面緘黙症に気づかず適切な支援を受けられなかった子どもは、生きづらさを抱えたまま生活を続けるうちに二次障害的にうつ病を発症する可能性があります。専門家は「場面緘黙は必ず改善する」と述べており、まずは学校と連携して頼れる専門家を探し、しっかりと改善への計画を立てていくことが大切です。

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