日本場面緘黙研究会 第1回研究大会が北九州市で開催!参加方法と申込手順を徹底解説

場面緘黙症

日本場面緘黙研究会の第1回研究大会は、2026年3月14日と15日の2日間にわたり、福岡県北九州市の西南女学院大学で開催される予定です。参加申込はオンラインチケットサービス「Peatix」(sm01.peatix.com)から行い、参加費は会員・非会員ともに4,000円、定員は300名となっています。2013年の研究会発足以来、初めての研究大会となるこのイベントは、場面緘黙症の研究者、医療従事者、教育関係者、当事者、そしてご家族など、場面緘黙に関わるすべての人々にとって待望の機会です。本記事では、大会の概要や参加方法はもちろん、会場へのアクセス、場面緘黙症とは何か、治療法や支援方法、そして回復に向けた取り組みまで、包括的に解説していきます。

日本場面緘黙研究会 第1回研究大会の開催概要

日本場面緘黙研究会による記念すべき第1回研究大会は、2026年3月14日(土)から15日(日)の2日間にわたって開催される予定です。会場は福岡県北九州市小倉北区井堀1-3-5に位置する西南女学院大学で、対面形式(集合形式)のみでの開催となり、オンライン参加は予定されていません。

大会共同実行委員長は、園山繁樹氏(西南女学院大学教授)と金原洋治氏(かねはら小児科院長)が務めます。両氏は場面緘黙研究の第一人者として知られており、長年にわたり場面緘黙の研究と臨床に携わってこられた専門家です。会場スペースの関係から参加者定員は300名に設定されており、参加費は会員・非会員ともに4,000円です。懇親会への参加を希望される場合は別途費用が必要となります。また、一般の方も参加可能ですが、18歳以上という年齢制限があり、事前予約が必要となっています。

第1回研究大会で予定されているプログラム内容

大会では多彩なプログラムが予定されています。記念講演として、金原洋治氏(かねはら小児科院長)による「場面緘黙がある子への医療現場での支援―現状と課題」が予定されており、長年にわたり場面緘黙の子どもたちの診療に携わってこられた専門家の視点から、医療現場における貴重な知見が共有される予定です。

その他にも、理事会企画シンポジウム、会員からの研究発表、教育講演、研修講座など、充実した内容が予定されています。また、参加者同士の交流を深めるための懇親会も開催される予定で、日頃なかなか出会えない同じ関心を持つ方々とのネットワーキングの場としても期待されています。

日本場面緘黙研究会 第1回研究大会への参加申込方法

第1回研究大会への参加申込は、オンラインチケットサービス「Peatix」を通じて行います。申込ページのURLはsm01.peatix.comとなっています。Peatixを利用するには、まずアカウントを作成する必要がありますが、すでにPeatixアカウントをお持ちの方は、ログインして申込手続きを進めることができます。

参加申込時の注意事項

参加申込に際しては、いくつかの重要な注意点があります。まず、定員が300名と限られているため、参加を希望される方は早めの申込をお勧めします。定員に達し次第、申込受付は終了となりますので、確実に参加したい方は申込開始後速やかに手続きを行うことが大切です。

参加対象は18歳以上の方となっており、学生の方も参加可能ですが、年齢制限にはご注意ください。また、懇親会への参加を希望される場合は、大会参加費とは別に懇親会費をお支払いいただく必要があります。

大会に関する詳細情報や不明点については、日本場面緘黙研究会の公式ウェブサイト(mutism.jp)をご確認いただくか、研究会事務局へお問い合わせください。

会場である西南女学院大学へのアクセス方法

西南女学院大学は、1922年に創立され、1994年に大学として設置された私立大学です。キリスト教プロテスタント系バプテスト派の学校として知られ、福岡県北九州市小倉北区井堀1-3-5に位置しています。

公共交通機関を利用したアクセス

JR小倉駅からお越しの場合は、南口を出て西鉄バス「小倉駅バスセンター2番のりば」から25・27・28番系統のバスに乗車してください。清水経由で約30分ほどで到着し、「西南女学院下」バス停で下車します。

JR南小倉駅からお越しの場合は、西鉄バス「南小倉駅前」から25・27・28番系統のバスに乗車し、清水経由で約10分です。同じく「西南女学院下」バス停で下車します。JR戸畑駅からお越しの場合は、南口を出て西鉄バス「戸畑駅」から11・25・27・28・32・63・83番系統のバスに乗車し、一枝経由で約20分となります。

徒歩でのアクセス

最寄りのバス停は井堀四角で、そこから徒歩約5分です。最寄り駅からの徒歩での距離は、南小倉駅から約2.3km(徒歩約30分)、九州工大前駅から約2.7km(徒歩約34分)、西小倉駅から約3.0km(徒歩約38分)となっています。徒歩での来場も可能ですが、距離があるためバスのご利用をお勧めします。

日本場面緘黙研究会とは

日本場面緘黙研究会は2013年に設立された研究会です。場面緘黙症の当事者と家族の呼びかけに、学校や病院の先生、大学の先生などが応じて集まり、場面緘黙症という問題を調べ、支援を考え、みんなでよりよい解決の道を研究するために結成されました。研究会の目的は、緘黙の研究、理解啓発、当事者及び支援者相互の連携にあります。

研究会の名称変更について

日本場面緘黙研究会の旧称は「日本緘黙研究会」でした。2021年1月には、ウェブサイトの表記が「日本場面緘黙研究会」に変更されました。これは、「場面緘黙」という名称がより正確に症状を表現しているという認識に基づく変更です。2022年10月現在、会長は園山茂樹氏が務めており、西南女学院大学で教鞭をとられています。

これまでの活動

研究会はこれまでに研修会やシンポジウムの開催、ニューズレターの発行などを行ってきました。場面緘黙について正しい知識と援助技術を学ぶための研修講座を開催しており、Zoomを用いたオンラインでの開催も実施しています。また、学術機関誌「場面緘黙研究」を発行しており、場面緘黙に関する研究成果を広く共有しています。

場面緘黙症とは何か

場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)は、選択性緘黙とも呼ばれ、家庭などでは話すことができるのに、社会不安のために、ある特定の場面・状況では話すことができなくなる疾患です。幼児期に発症するケースが多いとされています。場面緘黙は、脳の損傷や先天的異常などの不可逆的・恒久的な器質障害ではなく、社交不安症の一つとして考えられる症状であり、適切な治療的介入を行えば症状の改善が可能とされています。

場面緘黙症の主な症状と特徴

場面緘黙症の最も大きな特徴は、家庭では普通に話せている子どもが特定の場所(家庭以外の場所)で全く話せなくなってしまうことです。症状は特定の場面で話すことができなくなるだけでなく、話せないのと同時に身体が固まってしまうこともあり、これを「緘動(かんどう)」といいます。自宅や他の場所では何の問題もなく話すことができるのに、学校や職場などでは声を出すことができなくなります。

場面緘黙に共通しているのは、話せる場面とそうでない場面の区別がはっきりしていること、話せない状態が月単位・年単位で長く続くこと、その場所ではリラックスできる状態にあっても話すことができないことです。家庭では何の問題もなく話せていることから「自分の意思で話していないのではないか」と周囲の人に勘違いされてしまうケースも少なくありませんが、これは本人の意思ではなく、不安や緊張により声を出すことができない状態なのです。

発症時期と有病率

場面緘黙は2歳から5歳の間に発症することが多いとされています。しかし、その認知度は低く、また緘黙児は問題行動をほとんど起こさないため、周囲の人間が場面緘黙の状態を「治療が必要なもの」として認識していないことが多いです。日本で行われた小学生約14万7千人を対象とした大規模調査では、場面緘黙の有病率は0.21%と報告されており、大まかに言って1,000人から数百人に1人程度という割合です。

場面緘黙症の原因

場面緘黙の原因としては、不安や緊張しやすい気質が関係していると言われています。脳の扁桃体という部位が周囲の刺激に対して過剰に反応してしまうため、症状が現れると考えられています。環境要因としては、入園や入学、就職、転勤などの急激な環境変化が挙げられ、新しい環境や異なる文化に慣れるのに困難さや大きなストレスを抱えると、症状を発症しやすいと指摘されています。また、ASD(自閉スペクトラム症)を併存している緘黙症の人が多いという研究結果もあり、選択性緘黙の背景にはASDが影響していると言われています。

場面緘黙症の診断基準について

アメリカ精神医学会が発行する診断・統計マニュアル(DSM-5-TR)では、場面緘黙は不安症群に分類されています。診断基準として、他の状況で話しているにもかかわらず話すことが期待されている特定の社会的状況(例:学校)において話すことが一貫してできないこと、その障害が学業上・職業上の成績または対人的コミュニケーションを妨げていること、その障害の持続期間が少なくとも1か月(学校の最初の1か月だけに限定されない)であること、話すことができないことがその社会的状況で求められている話し言葉の知識または話すことに関する楽しさが不足していることによるものではないこと、その障害はコミュニケーション症ではうまく説明されず自閉スペクトラム症・統合失調症・または他の精神症の経過中にのみ起こるものではないことが挙げられています。

診断名の変更経緯

DSM-5-TRとICD-11では「選択性緘黙」から「場面緘黙」と名称表記が変更されることになりました。「選択性」という用語から「話さないことを選んでいる」などという誤解を招くケースがあることから、2018年に日本場面緘黙関連団体連合会から、DSM-5とICD-11の和訳を「場面緘黙」と改定を求める要望書が関連学会に提出されました。学校教育においては「情緒障害」に分類されており、「特別支援教育」の対象となっています。

場面緘黙症の治療法

場面緘黙の代表的な治療方法には複数のアプローチがあります。認知行動療法などの精神療法では、自分の考えや行動のクセなどを把握し、どうすれば症状がよくなるのかを整理してストレスや不安を和らげていきます。言語聴覚士によるサポートでは、一人ひとりが抱える問題について検査や評価を実施し、必要に応じて訓練や指導、助言を行います。薬物療法では、背景にある不安やうつ状態を薬物療法で軽減し、場面緘黙の症状を和らげる方法がとられることがあります。

行動療法的アプローチの効果

日本で最も効果的とされているのは行動療法的アプローチです。代表的な技法に「シェーピング法」があり、目標となる行動をスモールステップに分けて、簡単なものから取り組んでいく方法です。場面緘黙の治療でもっとも効果があるのは「段階的なエクスポージャー」という手法で、不安などの原因になる刺激に段階的に触れることで少しずつ慣れていくというものです。まずは話しやすい条件での練習から少しずつ段階的に難しくしていくことが効果的です。

心理教育を通して場面緘黙に関する理解を深めたり、改善方法や改善した人の体験談などを学んだりして、「緘黙症状を改善させることができる」という自己効力感を高めることも重要です。また、安心して発話できる環境づくりを行うことも必要です。

学校における場面緘黙児への支援方法

教師が場面緘黙の子どもに対応する際には、彼らの行動の変容を期待し指導するのではなく、彼らの意思や発信を重んじ、教師が歩み寄って支援することが必要です。あくまで受容的に接し、彼らの能動的なアクションを待ちながら、関係性の構築を大切にすることが先決です。

避けるべき対応と具体的な支援方法

「言ってみてごらん」「小さな声でいいから」など話し出すのを待つことは、注目を必要以上に集め、心理的な負担を大きくします。ただし、「どうせできないから(順番を)飛ばしてあげよう」などと勝手に順番を飛ばすこともよくありません。コミュニケーション手段の一つとして筆談があり、最初は教師と一対一の関係で行っていくとよいでしょう。本人の意思を確認しながら、徐々に友だちともできるようにしていくなどのステップアップが考えられます。

また、「みんなの前でスピーチを行えなかったから、国語の成績の評価はできません」というような評価は、そもそもその教科の目標に整合していません。子どもが自分に合った発表の方法を選べるようにするとよいでしょう。

保護者・関係機関との連携の重要性

有効な支援にはご家庭との協力は欠かせません。「家庭」「学校」「医療機関や相談機関」が連携できることが、ご家庭の安心に繋がり、有効な支援へとつながります。保護者との定期的なコミュニケーションの機会を設けることが重要で、例えば月に一度の面談や週一回のメールでの報告など、状況に応じて適切な頻度と方法を選ぶことが大切です。

早期対応の重要性

専門家は「どのような状況だったとしても、場面緘黙は早期に発見し、正しいアセスメントをすれば治せるもの」と話しています。しかし「教員は気付いても、何か支援をして失敗するよりも、様子を見るという選択を取りがちだ。そっとしているうちに、1年たってしまう。場面緘黙への対応はスピード感が大事だ」と指摘されています。場面緘黙は様子を見るだけで自然に改善するものではなく、まず最初にすべきことは場面緘黙児の不安が軽減されるように、家庭と園・学校と連携して環境を整えることです。

大人の場面緘黙症について

場面緘黙とは、話ができる能力があるにもかかわらず、特定の場面で話せなくなってしまう症状です。子どもだけでなく大人にも現れる症状で、大人の場合は仕事に支障が出てしまうケースが少なくありません。場面緘黙は性格によるものではなく、対人コミュニケーションに対する強い不安が根底にあるとされます。子ども時代に発症することがほとんどですが、性格の問題として見過ごされてしまい、大人になってから困難に直面するケースも少なくないと言われています。

仕事や日常生活での困難

大人の場合は、つらい症状をごまかしながら働くことで会社に居づらい感になってしまい、二次的な問題を引き起こすきっかけになります。仕事中に上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかず、トラブルになってしまう可能性があり、職場に理解が得られず「やる気がない」「協調性がない」と誤解されるケースも多くあります。二次的にうつ病や不安障害を併発するリスクもあるため、就労支援や職場での合理的配慮が非常に重要です。

大人の場面緘黙症は職場だけでなく、日常生活の幅広い場面にも影響を及ぼします。たとえば、飲食店で注文ができない、病院で症状を口頭で伝えられない、公共の場でトラブルがあっても助けを求められないといった具体的な困難が挙げられます。

就労支援制度の活用

就労移行支援とは、障害や病気のある方が社会生活においてスムーズに就労できるために受けられるサービスです。場面緘黙を含めた発達障害などの精神疾患では、障害者総合支援法に基づき、18歳以上の大人であれば就労移行支援が受けられるようになっています。ハローワークには障害者専門の窓口が設置されており、障害に理解のある専門スタッフのサポートが受けられます。また、障害者就業・生活支援センターでは、ハローワークや保健所、医療機関などの関係機関と連携して、就業支援と生活支援を受けることができます。

場面緘黙症とうまく付き合いながら働くには、まず自らの特性をきちんと理解することが重要です。人前でどうしてもうまく話せないときは、仕事でのコミュニケーションにメールやチャットなどのツールを取り入れてみるとよいでしょう。大人の場面緘黙はなかなか治るまでに時間がかかることが多いため、場面緘黙とうまく付き合っていくために必要な配慮をしてもらうように周囲に働きかけることが大切です。

場面緘黙の支援団体について

かんもくネットは場面緘黙(選択性緘黙)の症状がある子どもや大人、経験者、家族、教師、専門家が協力しあい、活発な情報交換と正しい理解の促進をめざす非営利の任意団体です。この会は、場面緘黙症Journal(SMJ)の掲示板で、緘黙児を持つ保護者と臨床心理士が2006年夏から情報交換を始めたことをきっかけに、2007年4月に誕生しました。

場面緘黙は日本では認知度が低く、誤解も多く、教育現場で十分な理解や支援が得られていません。この会は、場面緘黙に関する情報を社会に提供し、お互いを受け入れ理解し合えるような社会が実現していけるよう、社会全体の利益の増進に寄与することを目的としています。会員になるとリーフレットと提示カードを申込でき、地域で開催される「Knetおしゃべり会」への参加やKnet会員掲示板への参加が可能になります。

かんもくネット事務局メンバーは日本場面緘黙研究会の理事としても参加しており、また「場面緘黙関連団体連合会」にも参加しています。この連合会は場面緘黙の診断名の改善や社会的制度等の改善を図るために2018年に結成されました。

場面緘黙からの回復・克服について

場面緘黙症は、適切な支援と治療により回復・改善が可能な症状です。「場面緘黙は治る」ことが分かっていますが、緘黙症状の改善につながるような「話しやすいチャンス」は待っていてもなかなか巡ってこないため、意図的に機会を作っていくことが大切です。

経験者の体験談から学ぶ

ある経験者は小学校5年生のときに場面緘黙症になり、場面緘黙が治った最初のきっかけは「中3で転校したとき」で、そこから「高校に入学したとき」「社会に出て働くようになったとき」と段階をふんで徐々に改善していきました。急にしゃべりだしたわけではなく、段階をふんで少しずつ改善していったとのことで、転校前から「学校でまったくしゃべらないという状態はなんとかしなきゃ」とは思っており、明らかに状況を変えるチャンスだという認識ははっきり持っていたそうです。

別の当事者は、家から一歩外に出ると緘黙が始まり、家に帰るまで続いていました。一日中緊張しっぱなしで黙っているので、帰宅すると一気に喋りまくるという状態で、話せないだけでなく咳ができない、くしゃみができない、鼻をかめないなど、自分の体から音を出すことができない症状もありました。

ある父親の娘(16歳、ASD)は場面緘黙歴11年半に及びましたが、完全に克服しました。最終的には筆談でも代弁でもなく、ちゃんと自分の口で発言できるようになり、焦らずスモールステップで前進していくことが重要だったとのことです。

回復のきっかけとなる要因

回復のきっかけとしては、安心できる人間関係の構築(信頼できる友人や教師との関係が深まること)、成功体験の積み重ね(スモールステップでの挑戦が成功し自信がつくこと)、環境の変化(本人に合った学校やクラス、職場環境に移ること)、本人の成長と自己理解、適切な治療とサポートの継続などが挙げられます。

日本国内にも場面緘黙症をサポートする団体があり、症状に関する正しい情報の提供や当事者・家族同士が交流できる場を設けています。インターネット上でもオンラインコミュニティやSNSグループが存在し、匿名での相談や経験の共有が可能です。他者の体験談を知ることで「自分だけではない」という安心感を得られ、克服へのモチベーションにつながります。

場面緘黙研究の最新動向

日本場面緘黙研究会は学術機関誌「場面緘黙研究」を発行しています。2025年に発行された第3巻第1号には、「場面緘黙のある高等部生徒の即時的・双方向的なコミュニケーョンの促進」「青年・成人の場面緘黙当事者・経験者における症状・治療・職業等の状況」「場面緘黙の学校を基盤とした支援に求められる連携の在り方とは」などの論文が掲載されています。

2024年3月発行の「場面緘黙研究」第2巻第1号では、保護者251名への質問紙調査を通じて日本の場面緘黙児の特性及び支援の実態を把握する研究が掲載されました。調査時点で継続的な支援を受けていた者は58.9%であり、支援群と非支援群で比較したところ、症状に関する項目の得点には有意差は見られなかったが、影響や悩みに関する項目の得点は支援群の方が有意に高かったことが報告されています。また、同号には「合理的配慮の肥大と障害者差別のステルス化―場面緘黙生徒の入試における間接差別―」という特集論文も掲載されており、高校受験における英語スピーキングテストや自己表現試験が場面緘黙の生徒にとって問題となっていることを検討しています。

場面緘黙に関する研究は近年活発化していますが、まだまだ十分とは言えません。特に大人の場面緘黙や就労支援に関する研究、効果的な治療法の確立、早期発見・早期介入のためのスクリーニング方法の開発などが今後の課題として挙げられます。日本場面緘黙研究会の第1回研究大会は、こうした研究の発展と情報共有の場として、大きな意義を持つものと期待されています。

保護者・家族ができること

場面緘黙について、かつては親の育て方が原因ではないかと言われることもありましたが、現在では緘黙のある子どもの親と緘黙のない子どもの親には違いがないことがはっきりしており、育て方に問題があるという説は撤回されています。過保護や厳しさなど親の育て方が原因ではなく、現代では場面緘黙症と家庭環境の関連はほとんどないことがわかってきました。親のしつけや甘やかしのせいではありませんので、保護者の方は自分を責める必要はありません。

無理に話させないことの重要性

家族や学校・園の先生が「話す能力はあるから学校でも話せるだろう」などと無理にしゃべらせようとしたり、しゃべれないことへの劣等感を抱かせたりしてしまうと、不安はさらに大きくなってしまいます。「どうして話さないの?」と責めたり無理に話させようとしたりすると、かえって不安が強まってしまいます。まずは話さなくても受け入れられる環境をつくり、安心感を与えてください。

安心できる環境づくりと小さな成功体験

重要なのは、患者さんに「安心できる居場所があると知ってもらうこと」です。例えば、学校の授業で発表する際に筆談を許可するなど、本人ができる方法でコミュニケーションを取るようにすることで、自分の居場所があると感じることができ、自信にもつながります。「先生にうなずけた」「友達と目を合わせられた」など、話すこと以外の小さな成功体験も積み重ねることで、症状が軽減する可能性があります。言葉を発することだけがコミュニケーションではありません。

場面緘黙症の改善には個人差があり、無理に話すことを求めるよりも、お子さま自身のペースを尊重するのが重要です。すぐに変化が見られなくても、「焦らなくて大丈夫」と安心感を与えることで、お子さまは自分のペースで成長できます。

早期の相談・支援の重要性

「大事なことは場面緘黙かどうかではなく、その子に支援が必要かどうかを見極めることです。早期にアプローチができれば、その子の困る時間が少なくてすみます」と専門家は述べています。「適切な対応によって、場面緘黙は必ず改善します」とされており、子どもの場面緘黙がわかれば、まずは学校や園とよく相談し、発達外来や児童精神科、自治体が運営する保健センターなどの専門機関にかかることもおすすめです。

相談できる場所として、発達相談窓口(市区町村の保健センター・発達支援センター)、学校の先生・スクールカウンセラー、児童精神科・小児心療内科、ペアレントトレーニング・支援グループなどがあります。

支援を継続するために大切なこと

場面緘黙への取り組みを行う時に大切なことは、おとうさんやきょうだい、先生など周りの人に協力を求めること、楽しい活動を取り入れること、場数を踏んで自信をつけることの3つです。場面緘黙の取り組みは長期戦であり、保護者は1人でかかえすぎないようにしてください。行動療法的介入は不安を軽減させるのに効果的であり、言語的コミュニケーションを増大させます。刺激フェーディング法は、子どもがすでに話すことができている人と場所を特定し、それを新しい人や場所でもできるようにサポートしていく方法として知られています。

まとめ:日本場面緘黙研究会 第1回研究大会への参加を検討されている方へ

日本場面緘黙研究会第1回研究大会は、2026年3月14日・15日に福岡県北九州市の西南女学院大学で開催される予定です。2013年の研究会発足以来、初めての研究大会であり、場面緘黙に関わるすべての人々にとって貴重な機会となることでしょう。参加を希望される方は、Peatix(sm01.peatix.com)から事前申込が必要です。定員は300名となっていますので、早めのお申込みをお勧めします。

場面緘黙は、適切な理解と支援があれば改善可能な症状です。この研究大会が、場面緘黙への理解を深め、支援の輪を広げるきっかけとなることが期待されています。場面緘黙に関する詳細情報は、日本場面緘黙研究会公式サイト(mutism.jp)やかんもくネット(kanmoku.org)をご参照ください。

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