冬季うつで心療内科を初めて受診する際に必要な持ち物は、健康保険証、お薬手帳、症状を整理したメモの3点が基本となります。問診票には症状の開始時期や睡眠・食欲の変化を具体的に記入し、特に「毎年同じ時期に症状が出るか」「炭水化物への渇望があるか」といった冬季うつ特有の項目を意識して準備することが重要です。この記事では、冬季うつの症状を感じている方が心療内科を初めて受診する際に知っておきたい持ち物や問診票の書き方、事前準備のポイント、初診の流れ、費用について詳しく解説します。

冬季うつ(季節性感情障害)とは何か
冬季うつとは、正式には「季節性感情障害(SAD:Seasonal Affective Disorder)」と呼ばれる気分障害の一種で、秋から冬にかけてうつ症状が現れ、春先の3月頃になると自然と改善するというパターンを毎年繰り返す疾患です。1984年に精神科医のローゼンタールらによって初めて報告され、日本における有病率は2%前後とされています。国際的な診断基準であるDSM-5では独立した疾患とはされておらず、反復性うつ病や双極性障害の「季節型」として分類されています。
冬季うつの特徴として、典型的なうつ病とは異なる症状パターンがあります。一般的なうつ病では不眠や食欲低下が見られることが多いのに対し、冬季うつでは過眠と過食が顕著に現れます。夜間の睡眠時間が長くなるだけでなく、日中も強い眠気を感じ、いくら寝ても疲れが取れない感覚が続きます。食欲に関しては、特に炭水化物への渇望が強くなり、白米やパン、パスタ、チョコレートなどの菓子類を無性に食べたくなる傾向があります。この現象は「炭水化物飢餓」と呼ばれることもあり、特に午後から夜にかけてこの傾向が強まります。その結果として体重増加が起こることも少なくありません。
意欲低下や倦怠感、集中力の低下も冬季うつの主要な症状です。何をするにもやる気が出ず、思考が進まない感覚があり、体が重く感じてだるさが続きます。興味深いことに、冬季うつでは「憂うつ感」といった典型的なうつ症状はあまり目立たず、気持ちの落ち込みよりも意欲の低下が顕著です。この様子は「冬眠している」状態に例えられることもあります。
冬季うつが起こる原因とメカニズム
冬季うつの原因は完全には解明されていませんが、複数の要因が関連していると考えられています。最も重要な要因は日照時間の減少です。冬は日照時間が短くなるため、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌が低下し、気分に影響を与えます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定に深く関わっている物質です。
体内時計の乱れも冬季うつの発症に関係しています。光の刺激が減ることで、体内時計をつかさどるメラトニンの分泌タイミングがずれ、概日リズム(サーカディアンリズム)に障害が生じます。メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、その分泌バランスの乱れは睡眠の質や量に直接影響します。また、光刺激の減少により、気分や意欲に関わる神経伝達物質であるドーパミンの分泌も減少することが分かっています。
発症リスクが高いのは、高緯度地域に住んでいる人、女性、若年者です。これは高緯度地域ほど冬の日照時間が短くなることと関係しています。
冬季うつかどうかを確認するセルフチェック
自分が冬季うつかもしれないと思った場合、まずセルフチェックを行うことができます。SPAQ(季節パターン質問票)というチェックリストがあり、ローゼンタール氏らによって開発されました。一般的なチェック項目として、秋から冬になると気分が落ち込みやすい、冬になると睡眠時間が長くなる、冬になると炭水化物や甘いものが無性に食べたくなる、冬になると体重が増える、冬になると活動量が減る、春になると症状が改善する、といった項目があります。
合計点が7点以下であれば「正常範囲内」、8から11点であれば「冬季うつの前段階」、12点以上は「冬季うつの可能性がある」とされています。ただし、セルフチェックはあくまで目安であり、気になる症状がある場合は専門の医療機関への相談をお勧めします。
心療内科と精神科の違いと選び方
冬季うつの症状を感じて受診を考えたとき、心療内科と精神科のどちらを選ぶべきか迷う方も多いでしょう。心療内科は、ストレスが原因で身体症状が現れる「心身症」を治療する診療科です。心の不調が身体の不調として表れる場合に、精神的ストレスを軽減することで症状を改善することを目的としています。主な対象疾患には、過敏性腸症候群、機能性胃腸症、心因性の高血圧、喘息、慢性頭痛などがあります。
一方、精神科は、うつ病、統合失調症、不安障害、双極性障害、強迫性障害など、主に精神疾患を専門に診る診療科です。認知症や発達障害の治療も含まれます。治療には薬物療法や精神療法が用いられます。
基本的には、身体症状が目立つ場合は心療内科、心の症状が目立つ場合は精神科を受診するのが目安となります。しかし、実際には「精神科」と「心療内科」の両方を標榜しているクリニックが多く、精神科医が心療内科の看板をかかげていることも珍しくありません。どちらを受診するか迷った場合は、「精神科」「心療内科」の両方を標榜しているクリニックを選ぶか、自宅や職場から通いやすい場所を選ぶか、事前に電話で問い合わせて相談するという方法がおすすめです。診察の結果、他科のほうが良いという判断があれば、医師が責任を持って紹介してくれますので、まずは気軽に受診してみることが大切です。
心療内科を受診するタイミングの目安
「この程度で病院に行っても良いの?」と受診をためらっている方も多いかもしれません。しかし、早期受診には大きなメリットがあります。以下のような状態が2週間以上続いている場合は、受診を検討すべきタイミングです。やらなければいけないことに意欲がわかない、趣味やレジャーが楽しめず気分転換ができない、特別な理由がなくても気分が落ち込む、神経が過敏になりひどく緊張したり動揺したりする、自分に自信がもてない、以前のように集中できず思考力が働かない、寝ても疲れが取れない、眠れないまたは眠りが浅い、ストレスを感じて気分が落ち込んでいる、食欲がわかないまたは何を食べてもおいしくない、といった症状が該当します。うつ病の診断基準では、「ほぼ毎日」「1日のうち大半」「2週間以上」症状が持続していることが含まれています。
2週間未満であっても、気分の落ち込みや思考力・集中力の低下により生活に支障が出ている場合、仕事や学業に差し支えている場合、希死念慮(死にたいと感じる、死に方を考えてしまう)がある場合は早めの受診をおすすめします。
うつ病の9割以上は睡眠障害を合併しているといわれており、冬季うつの場合は過眠(寝過ぎ)の傾向がありますが、これも重要なサインです。睡眠の質に明らかな変化が現れている場合は、受診の目安となります。
うつ病が寛解するまでにかかる治療期間は、「発症から受診までの期間と同じくらい」といわれています。つまり、早く治療を始めた人ほど短い期間で回復できる可能性が高いのです。早期に治療を開始することで、脳へのダメージを最小限に抑え、回復を早めることができます。「おかしいな」と思ったときが、受診の最善のタイミングです。
心療内科の初診で必要な持ち物
心療内科を初めて受診する際に必要な持ち物を確認しましょう。健康保険証は保険診療を受けるために必須です。持参しなかった場合は診察料が全額自己負担(10割負担)となりますので、必ず持参してください。高齢受給者証、限度額認定証、公費医療証など、各種医療証をお持ちの場合も持参が必要です。
お薬手帳は現在服用中の薬がある場合に必ず持参すべきものです。お薬手帳がない場合は、薬の現物や薬局でもらった明細書でも構いません。服用中の薬の情報は、治療方針を決める上で非常に重要です。精神科の薬だけでなく、内科の薬やサプリメントも含めて医師に伝える必要があります。他の医療機関から紹介された場合は、紹介状(診療情報提供書)を必ず持参してください。これまでの病状や経過が記載されており、スムーズな診療につながります。すでに自立支援医療制度を利用している場合は、自立支援医療受給者証の持参も必要です。
持参すると役立つものとして、症状メモがあります。自分の症状を整理したメモを用意しておくと、緊張しても医師に情報を伝えやすくなります。いつからどのような症状があるかの日々の記録(症状日記)があると参考になります。医師に聞きたいことをあらかじめ書いた質問事項のメモも、聞き忘れを防ぐために有効です。
問診票の書き方と記入のポイント
心療内科では、受付後に問診票を記入することになります。問診票の内容を事前に把握しておくことで、落ち着いて記入できます。問診票でよく聞かれる項目として、主な症状・相談内容(今回受診した理由や困っている症状)、発症時期・きっかけ(いつ頃から症状が始まったか、きっかけとなる出来事があったか)、受診歴・通院歴(過去に精神科や心療内科を受診したことがあるか、ある場合はその時期、診断名、医療機関名)、服用中の薬(現在飲んでいる薬をすべて、お薬手帳を見ながら記入すると正確)、アレルギー・既往歴(食べ物や薬のアレルギー、過去に相性が悪かった薬、糖尿病、高血圧、手術歴などの身体の病気)、睡眠状態(寝付きが悪い、途中で目が覚める、朝早く目が覚める、睡眠リズムが乱れているなど)、食欲の変化、生活環境(家族構成、仕事の状況、ストレスの原因など)、来院のきっかけ(自分の意思で来院したのか、家族や職場に勧められたのか)などがあります。
問診票を書く際の最も重要なポイントは正直に書くことです。症状を軽く見せようとしたり、恥ずかしいからと隠したりすると、適切な診断や治療が難しくなります。また、具体的に書くことも大切です。「気分が悪い」だけでなく、「朝起きられない」「食欲がなく体重が3キロ減った」「仕事に集中できない」など、具体的な状況を記入すると医師が理解しやすくなります。
冬季うつが疑われる場合は、以下の点を意識して記入しましょう。症状が始まった時期(何月頃から)、毎年同じ時期に症状が出るかどうか、睡眠時間の変化(増えたか減ったか)、食欲の変化(特に炭水化物への渇望があるか)、体重の変化、日常生活への影響、といった項目です。
クリニックによっては、ウェブサイトから問診票をダウンロードできる場合があります。事前に記入して持参すると、当日の時間を節約でき、落ち着いて記入できるのでおすすめです。
初診当日の流れと所要時間
初めての受診で緊張している方のために、当日の流れを詳しく説明します。心療内科は予約制のところがほとんどですので、事前に電話やインターネットで予約を取りましょう。予約時には初診の受付時間(診療時間と異なる場合があります)、持ち物の確認、当日の所要時間の目安、キャンセルポリシーを確認しておくと安心です。
心療内科は予約が取りにくい状況が続いています。初診には1人あたり40から50分かかるため、新規患者を受け入れる枠が限られているのが現状です。地域によっては、初診の予約が1から2ヶ月先になることもあります。予約が取れない場合は、キャンセル待ちを活用する(予約したい日の前日にホームページ等で予約状況を確認する)、平日の予約を検討する(土日や祝日は予約が集中しやすいため、平日の午前中や午後の早い時間を狙う)、新規開業のクリニックを探す(開業したばかりのクリニックは比較的予約が取りやすい傾向がある)、直接電話で問い合わせる(ウェブ予約では埋まっていても電話で空きがある場合もある)、オンライン診療を検討する(対面での予約が取れない場合の選択肢として、自宅からスマートフォンやパソコンを使って診察を受けることができる)といった方法を試してみましょう。まずは今の時点で予約を入れておくことが重要で、予約を入れないでいるとさらに先に延びてしまいます。緊急性が高い場合は、精神保健福祉センターやこころの健康相談統一ダイヤルなどの公的な相談窓口を利用することも検討してください。それでも予約が取れない場合は、まず内科を受診して相談するという方法もあります。
予約時間の10から15分前には到着するようにしましょう。初診は問診票の記入などで時間がかかります。受付では健康保険証を提示し、初診であることを伝えます。問診票を渡されたら待合室で記入します。わからないことがあれば、受付スタッフに質問しても大丈夫です。
問診票の記入が終わると、診察室に呼ばれます。初診の診察時間は通常30から40分程度です。医師との面談では、問診票の内容をもとに、より詳しく症状や状況について聞かれます。現在の症状について(「症状はいつから続いていますか?」「どんな場面で悪化しますか?」といった質問)、生活リズムの変化(睡眠、食欲、活動量の変化について詳しく聞かれる)、生活環境について(家族構成、仕事の状況、人間関係など)、過去の病歴について(生まれた時のこと、過去の病気やケガ、学校や職場での経験など)、治療の希望について(「すぐに仕事に復帰したい」「休職を考えている」「どうすればいいか相談したい」など)といった内容が聞かれます。薬物療法への不安がある場合も、遠慮なく伝えてください。
話しにくい内容がある場合は、最初にそのことを伝えても大丈夫です。「話しにくいことがある」と伝えることで、医師はそれを尊重し、無理なく治療を進める方法を一緒に考えてくれます。治療が進んでから少しずつ話すことにしても構いません。
初診時には、血液検査や心電図検査が行われることがあります。これは身体的な疾患が症状の原因になっていないかを確認するためです。診察が終わると、必要に応じて処方箋が出されます。次回の予約を取り、会計を済ませます。初診の場合、受付から会計まで全体で1.5から2時間程度を見込んでおきましょう。検査の有無や内容によって前後します。
初診でかかる費用の目安
費用面の不安を解消するために、初診でかかる費用の目安を説明します。健康保険が適用される場合、3割負担で2,500円から6,000円程度が一般的です。内訳は診察料(初診料)、通院精神療法、処方料など薬に関わる費用となります。
血液検査や心電図検査が追加された場合は、保険適用3割負担で2,000円前後が追加されます。血液検査の項目によっては1,000円から3,000円程度かかることもあります。処方される薬の種類によって大きく変わりますが、お薬代は1ヶ月分で1,000円から10,000円程度を目安に考えておくと良いでしょう。再診の場合は1,000円から2,000円程度と、初診よりも安くなります。
心療内科や精神科で行われる診療の多くは健康保険が適用されます。ただし、一部に保険適用外の「自由診療」がある場合もありますので、不安な場合は事前に確認しましょう。仕事を休む必要がある場合など、診断書が必要になることがあります。診断書は保険適用外のため、クリニックによって異なりますが、3,000円から10,000円程度かかることが一般的です。
医療費を抑える自立支援医療制度
継続的に通院が必要な場合、医療費の負担を軽減する制度を活用しましょう。自立支援医療制度を利用すると、医療費の自己負担額が3割から1割に軽減されます。さらに、収入や症状に応じて月あたりの負担上限が設定されます。対象となるのは、うつ病をはじめとする精神疾患で継続的な通院が必要な方です。申請は市区町村の窓口で行います。医師の診断書が必要になりますので、利用を検討している場合は担当医に相談しましょう。
心療内科に対するハードルを感じる場合は、地域の保健所、精神保健福祉センター、厚生労働省が設置している24時間電話相談窓口、NPO法人などの相談窓口に無料で相談することもできます。
冬季うつの主な治療法
初診後、どのような治療が行われるのかを事前に知っておくと安心です。冬季うつの治療で第一選択とされるのが高照度光療法です。2,500から10,000ルクスの高照度の光を1から2時間程度、目から取り入れる治療法です。効果は比較的早く現れ、1週間程度で改善することも多いとされています。ただし、中断すると再発する可能性が高いため、冬季の間は連日行うほうが良いとされています。冬季うつ患者の6から7割で効果が見られ、即効性のある治療法です。
最近の研究では、青色波長光が体内時計への作用の大部分を占めることが分かっており、青色LEDを使うことで750ルクス程度の照度でも従来の10,000ルクスの白色蛍光灯と同等の効果が得られるようになってきています。注意点として、2025年現在、高照度光療法は健康保険の適応対象外です。そのため、積極的に実施している医療機関は少ないのが現状です。
市販の高照度光療法器具を使って、自宅で光療法を行うことも可能です。照射のタイミングは午前中が推奨されますが、日中のどの時間帯でもほぼ同等の効果があることが判明しています。ただし、夜の光療法は体内時計を乱し、眠れなくなるため避けてください。自宅で行う場合も、眼や皮膚へのダメージが懸念されるため、まずは医師に相談することをお勧めします。
光療法が無効な場合や行うことが難しい場合は、薬物療法が行われます。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ薬が有効であることが確認されています。季節性うつ病の場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、春になったらやめるのが一般的なパターンです。
季節性うつ病の治療と再発防止には、認知行動療法が効果的であるとする研究結果もあります。認知行動療法とは、自分自身の行動や考え方の偏りをなくして、より適応的な思考パターンを身につけるための方法です。その他の治療法として、日照不足によりビタミンDが不足している場合にビタミンD補充を行う方法があります。エビデンスは十分ではありませんが、試みる価値があるとされています。また、磁気を利用して脳をピンポイントで刺激するTMS治療が選択肢の一つとして提案されることもあります。
日常生活でできる冬季うつ対策
治療と並行して、日常生活でも対策を心がけることが大切です。日照時間が短い冬でも、意識的に外出して太陽の光を浴びることが重要です。特に午前中に光を浴びると効果的です。曇りの日でも屋外は室内よりも明るいため、外出することに意味があります。朝に1時間程度の太陽光浴は、セロトニンの生成につながり、うつ症状の改善に役立つとされています。室内で過ごすことが多い方は、窓際に座ったり、休憩時間に屋外に出て日光浴をする習慣をつけましょう。
バランスの良い食事も重要です。セロトニンの材料となるトリプトファンを含む食品を積極的に摂りましょう。トリプトファンを多く含む食品には、バナナ、大豆製品(豆腐、納豆、味噌など)、乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)、肉類、青魚、卵があります。光、トリプトファンを含む食品、軽い運動をセットにしてルーティン化できると効果的です。
体内時計を整えるために、規則正しい生活を心がけましょう。毎日同じ時間に起床し、同じ時間に就寝することが大切です。冬は過眠になりがちですが、寝すぎは体内リズムを乱す原因になります。冬季うつでは常に眠気を感じたり、寝すぎてしまったりするため生活リズムが乱れがちですので、まずはきちんと朝に起きることから始めてみましょう。
適度な運動もセロトニンの分泌を促進します。ジョギングやウォーキングなどの有酸素運動を行い、屋外で運動すれば光を浴びることもできて一石二鳥です。運動によって、セロトニンやエンドルフィンなどの気分を高める脳内物質の分泌が促進されます。軽いウォーキングやストレッチ、ヨガなど、自分が楽しめる運動を選び、無理のない範囲で継続することが大切です。毎日同じ時間に運動する習慣をつけると、生活リズムが整い、冬季うつの予防にもつながります。
冬季うつは毎年同じ時期に発症するパターンがあるため、秋からの予防が重要です。10月から11月頃になったら、意識的に光を浴びる時間を増やし、生活リズムを整えるようにしましょう。症状が出てから対処するよりも、予防的に生活習慣を整えておくことで、症状の発現を抑えたり、軽減したりすることが期待できます。
通院の継続と治療の目標
初診後は、継続的な通院が必要になることが多いです。心療内科での通院頻度は症状の重症度によって異なります。重症の場合は週2から3回、中等度の場合は週1回、軽症または安定している場合は2週に1回が目安です。多くの場合、はじめは週1回から始まります。目安として早くても3ヶ月ほどの通院は必要とされています。再診は初診よりも短く、5から30分程度で、症状の変化や薬の効果について医師と話し合います。
冬季うつの場合、症状が出る前の秋の初め頃から予防的に治療を開始することで、発症を予防できるという報告もあります。長期的な視点で治療に取り組むことが大切です。
受診をためらっている方へ
冬季うつは適切な治療により改善が期待できる疾患です。「この程度で病院に行っても良いの?」と思うかもしれませんが、自分では軽いと思っている症状でも、客観的に見ると重症であったり、医師のアドバイスや治療で解決することもあります。受診をためらっている方へお伝えしたいのは、「受診の結果、治療が不要だと分かることにも十分に意味がある」ということです。
持ち物を準備し、問診票に書くことを整理しておけば、初めての受診も怖くありません。冬の寒さと暗さは誰にとっても辛いものですが、適切なケアを受けることで、穏やかな冬を過ごすことができるようになります。

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